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「もう作家なんかで飯を食っていける時代じゃいないよ」

 神田のそば屋で焼酎を片手に、やけくそ気味に語るのは、これまで10数冊の著書がある小説家、エッセイストの東山健吾(仮名・50代)だ。20代後半である文学賞の新人賞をとり、10万部クラスのヒットを飛ばしたこともある。しかし、7年前に出した本を最後に、出版社からお呼びがかからなくなってしまった。

 東山は言う。

「最後に出した本なんて初版2000部だよ。1年かけて300ページ以上の長編書いて、印税は30万円ちょっと。好きだから、書きたいことがあるからやってきたけど、もう限界だよね」
 ここ数年、本や雑誌といった紙媒体の凋落が顕著だ。販売総額で見ると、ピークの1996年には2兆5000億円を超えていたが年々減り続け、昨年は1兆6000億円程度に縮小。特に雑誌、文芸書の販売額減少は著しく、当然、そこを働き場としてきた作家やライター、カメラマンといった人たちの食いぶちも年々減り続けているのが現状だ。大手出版社の文芸担当編集者は作家たちの苦境を次のように語る。

ビジネス書や自己啓発本の作家は別として、小説やノンフィクションの分野で、原稿料と印税収入だけで食べていけている作家なんて、ごくわずかしかいないですよ。仮に100人の専業作家がいるとしたら、平均年収は150万円にも届かないと思いますね。最近よく言われているのは、今どき作家になれるのは、資産家の子弟か奥さんとか、ダンナがしっかりと稼いでいる場合だけじゃないかと」
 現在、東山はどうやって生計を立てているのか。

「これはあまり言いたくないんですが、他人の本のゴーストライティングをして、辛うじて生活できている感じですね。プロの作家が、自費出版のアマチュア作家のゴーストをやって食ってるんですから、情けない限りですよ」

 東山の今年の仕事は、ここまでゴーストライティング本を5冊、収入は約150万円だという。「妻が派遣の仕事しているから何とかやれてますが、それでもギリギリですよ」
 東山のような“限界作家”はいくらでもいる。むしろ主流派といっていいだろう。前出の文芸編集者も自嘲気味に言う。

「プロの専業作家はどんどん消えていくでしょうね。そうなると世の中には、ペラッペラの素人文章ばかりがあふれるようになる。ネット世界は、すでにそうなりつつあります。文化という視点で見れば、これほどつまらない時代もないですよ。こういうことを言うと、老害とか言われちゃうんでしょうけど」

 それも“時代”ということだろうか。


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反論


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運よくヒットが出たら節制すべきですね。


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