【晒し】俺ワナビ、異世界行ったら知らないおっさんが先に来てた
今回は管理人作品です。
いつも掲示板のコピペと人様の作品の晒しで金儲けをしているので、たまには矢面に立ってみます。
何かご感想をいただけたら幸いです。
なお、12/31~1/3は通常の半分ほどの更新頻度とさせていただきます。
毎度ご訪問、コメントありがとうございます。
来年もよろしくお願いします。
—–
「視点が統一されてない。描写がない。説明しかない。台詞が不自然。言葉の使い方がおかしい。以上の理由で君の小説は不完全だ」
くっ……
この……クソ野朗が!
お前がなろうで書籍化したとかいうから、恥をしのんでアドバイスを求めてやったというのに、そんな言い方はないだろう。
奴は机で俺の原稿をトントンと揃えると、
「早く俺に追いついてくれよ。ライバルが欲しいんだ」
と言って、さわやかに笑いやがった。
ぐおおおお許せねええええ!
お前なんか、本当に、死ね!(語彙) あっという間に打ち切りにされて泣きわめくがいい!
池面持男(いけつらもてお)。ジャニーズみたいな女に媚びた面構え。成績は学年トップ……じゃなくて五位あたりなのがあざとい。低身長のくせにバスケ部で、女どもから「かわいい」とかチヤホヤされていやがる。冗談もうまくてオタクグループとも会話できて、要するに俺なんかとは全然違う。
あいつがモテるのは正直当たり前だと思う。でも、小説まで書けるってどういうことだよ。俺にも何か残しといてくれよ。欲張り過ぎるだろうが……!
あーあ、何もやる気しねえ。
家のソファーで横になって、とっくに飽きているスマホゲーをぽちぽちやっていると、
「ねぇ、ソファーで寝ないでって何回言わせんの」
妹がケチをつけてきた。
「寝てねーし。起きてるし」
「くそボケ兄貴、頭に湿気たパン粉でも詰まってんのか。家族の共有物を占領すんなっつって言ってんだよ。耳の奥に手ェ突っ込んで奥歯ガタガタ鳴らしたろか」
「はいはいわかったよもう……」
この粗暴な女がクラスではモテるらしいが信じられん。ドMの集団じゃねーか。
「あ、ところでさ、兄貴って小説書いてんの?」
と、妹が出し抜けに言って、俺の心臓は危うく止まりかけた。
「は? 俺が小説? なんで?」
「バスケ部の友達から聞いたんだけど」
ああああああああああ!!
絶、殺!!!!
池面の野朗、バラしやがったのか! 最凶最悪のゴミ作者め!!
あいつがモテるのは当たり前と考えたのを訂正する。あんなカスがモテてはいけない。あんなカスがモテる世界は間違っている。
「どんなの書いてんの?」
「何かの誤解だろ。俺は小説なんて書いてない」
「恥ずかしがらなくてもいいじゃん、プロになったらみんなが見るんだから」
「プロなんかなれるわけねーし」
「書いてはいるんだ?」
「……」
「笑わないから見してみ?」
見せろ見せろとしつこく追ってくる妹をドアで遮断して、俺は部屋に立てこもった。
うあああああもう学校行けねーじゃん……
マジ最悪。絶対笑われる。オタクグループのことも見下してたから味方がいない。
これ、ガチで、詰んでね? 「人生詰みかけてんなと思って小説で逆転目指したのに書いた結果詰んだ」って5chでスレ立てたら、みんな慰めてくれるかな。いや、よせよせ。バカにされるに決まってる。
はあ~(クソデカため息) やばいやばいやばい。これからどうすればいいのかマジでわかんねえ。
こうなったらトラックで転生だな!
グーグルの検索窓に、
「トラック 転生」
と記入。
別に深い意味はない。そもそも人生に意味なんてないだろ?
グーグル先生~、トラックで転生する方法を教えろください~。
エンターキーぽちー。
ぷちゅん
画面が消えた。
「は?」
え、どういうこと?? 故障? ググってはいけない言葉だった?
……?
何の音だ? 遠くから、何か近づいてくるような……
車の走行音? でも、どこから……
あ、やべえぞこれ。どんどん近づいてくる。でもどこから来てるんだ。来てるのはわかるのに方向がわからん。
ビシッ!
パソコンの画面にヒビが入った瞬間、時間が止まったように感じた。そこで意識は途絶えた。
—–
「腰が入ってない。踏み込みが浅い。脇が甘い。刃筋が立ってない。以上の理由でお前の剣術は不完全だッ!」
どちゃくそ怒られて、
しょぼん……
と、音が聴こえてきそうなほどショボくれるおっさん。もう見ちゃいられない。
なんで俺がおっさんの剣術修行を見物しているかというと、こういうことだ。以下回想。
意識を取り戻した俺は、口の中に入った土をぺっぺっと吐き出し、あたりを見回した。
青い月明かりの下、鬱蒼とした森。
おお、やったやった! よくわからんけど転生できたようだ。グーグル先生ありがとう。
「……」
いや違うわ。これ転生じゃなくて転移だわ。服も学生服のままだし能力身についた気もしないし。
まぁでも、もう学校行かなくて済むんだからいいか!
「あのー……」
と言いながらどこからともなく現れたのは、背中に羽の生えた、清楚な顔の女の人だった。
テレ昼の羽後アナウンサーに似ている。控えめに言って付き合いたい。
「私、次元管理官のググリと申します。このたびは誠に申し訳ございません」
「?」
「なる早で元の世界へお返ししますのでご安心ください!」
え、ちょ、待。
「あの、別に帰りたくないんですけど」
「お気遣いは結構です」
「いや、お気遣いじゃなくて……」
「あなたを転移させてしまったのはちょっとした手違いなのです」
「手違いを受け入れるっていうのはナシですかね」
「ナシですね。もうこの世界には転移者様がお一人いらっしゃいまして、一世界に転移は一人までという決まりがございますので」
「そうですか……」
うっそぉ~ん。ぬか喜びしちゃったじゃん。お詫びに結婚してくれ。
「それで、大変恐縮ですが、お帰りいただくための諸々をアレしてコレして上層部の承認を得るのにおよそ一ヶ月ほどかかります」
おっ。
「その間、現実の時間は?」
「ご心配なく。ちゃんと元の日時にお送りしますので」
「……」
クソ学校生活を一ヶ月飛ばせるのかと思ったら、それもナシかよ。何か都合のいいこと一つぐらい起きてくれませんかね。
「というわけで、今から一ヶ月間、『転移者の守護霊』としてお過ごしください」
「はい?」
「そのポジションが一番安全ですし、迷子になる心配もございませんので」
「能力は?」
「飲まず食わずで生きていけます。転移者様の半径10メートル以内なら浮遊できます。転移者様にしか姿が見えません。転移者様としか話ができません」
「つまり、ただ見守るだけ?」
「そういうことになります」
うへえ、つまんなさそう……
「それでは、どうぞお元気で!」
と言って、ググリさんは大きく手を振った。
次の瞬間、俺の体を前から後ろに何かが勢いよくすり抜けていった。
「!?」
怒号。固いもの同士がぶつかり合う音。立ち込める土煙。
「立て! サイラス!」
と、鎧の男が怒鳴った。
どうせ俺の語彙では表現できないが、とっても強そうだ。
振り向いてみると、サイラスと呼ばれた冴えないおっさんが尻もちをついた態勢から「ぐぐぐ……」という感じで起き上がろうとしている。
同じ鎧を着ているのに何だろう、この差は。片や本物の騎士、片やコスプレにしか見えない。
おっさんは俺と目が合うと、
「え?」
という顔をしてフリーズした。
説明されてないのか。
「サイラス!」
「ひっ!」
「何を惚けている! 立て! かかってこい!」
「は、はいっ!」
脇によける俺をチラ見しながら、おっさんは木剣を構え、男に向かって突撃していった。
必死の打ち込みを男は事もなげに払う。
ガッッ!!
うわっ、動きは小さいのにスゲー音!
おっさんは吹き飛ばされてまた尻もちをついた。
そんなようなことを何度か繰り返して、冒頭のダメ出しに戻るのである。
兵士宿舎にて、俺が何者なのか説明すると、おっさんは、
「やっぱりそうだったか……」
と言って、力なく笑った。
「前の世界ではコピー機の営業マンをやってたんだ。君はコピー機って欲しいと思う?」
「いや……全然」
「だよね。もちろん個人向けじゃなくて企業向けなんだけど、企業も全然買ってくれないんだ。今は何でもオンラインで済ませるから需要が相当下がってるんだよね。なのにノルマは軽くなるどころかどんどん厳しくなって、達成できないと上司に怒られるし、しつこく売り込んだら今度は相手先に怒られるし……」
「……」
「唯一の趣味がオンラインゲームでね、中世ヨーロッパみたいな世界にずっと憧れてたんだ。でも、現代の日本のほうがずっとマシだった。剣振り回して戦うのがこんなに大変だとは思わなかったよ……」
「……」
ぐち。ぐち。ぐちぐちぐち。
訓練がきついという話に始まり、飯がまずいだの便所が汚いだの、愚痴は際限なく続いた。俺の感情は最終的に同情2:イライラ8ぐらいの割合に落ち着いた。
おっさんが寝静まっても眠気は来なかったが、やることもないので宙に浮いたまま目を閉じると、いつの間にか眠っていた。
—–
代わり映えしない日々が続いた。
おっさんは、まるで成長しなかった。同じように吹っ飛ばされて同じことを言われ続けた。
上空から見ているとよくわかる。鎧の男の言う通りだ。他の人に比べて、腰が入ってない。踏み込みが浅い。脇が甘い。
どうして言われたことを直さないんだろう。何をムキになってるんだろう。
「……あ」
それって、俺か。
池面にダメ出しされた時、「直そう」じゃなくて「この野郎」としか思わなかったもんな。
「サイラス! 休むな!」
「はい!」
「そんなことで聖騎士が務まるか!」
「……うああああああ!」
強くなることに繋がらない、感情的な突進。この人はこの世界でこんなことをずっと繰り返すんだろうか。
—–
今日で一ヶ月。このまま帰るのもモヤモヤする。
「あのー、サイラスさん」
「君までその名前で呼ぶのやめてよ。ただの斉藤だよ、僕は」
「でも、元の世界にはもう帰れないでしょう」
「それはそうだけど」
思い切って、上空から見て感じていたことを伝えると、おっさんは急に不機嫌になった。
「で?」
「いや、だから……やり方を変えたら強くなれるんじゃないかって、思ったんですけど……」
「君は剣道か何かやってるの?」
「いえ、やってませんけど……」
「大人に指図するなよ、子供のくせに」
この一言にはカチンと来た。
「そんなだから前の世界でもうまくいかなかったんだよ!」
噛みついてきたのが意外だったんだろう。おっさんは一瞬ひるんだ顔を見せたが、すぐに反撃してきた。
「いいよね、君は。安全なところから言いたい放題言えて。木剣で打たれる痛さも知らないで偉そうにアドバイス? 笑わせないでくれよ。前の世界でもそうしてたんじゃないの? どうせネットで匿名で言いたい放題言ってたんだろ?」
図星だった。なろう発の人気ラノベを5CHで叩きまくったことがある。でも、今は自分のことは棚に上げる。
「俺がどういう奴でも関係ないだろ。おっさんのためを思って言ってやってんのに、なんで素直に聞けないんだよ」
「放っといてくれよ。君は何かの間違いで飛ばされてきただけなんだろ」
「真面目にさ、このままでいいの?」
「何が」
「今のままで戦場に送り出されたら、その……死ぬんじゃないの?」
「……心配してくれてたのか。悪かったね、キツいこと言って」
「……」
「そもそも僕は戦いたくないんだ」
「え?」
「世界史の授業で『十字軍』ってやった?」
表向きは聖地奪還。しかし実態は侵略。聖騎士とは侵略者の称号なのだと、おっさんは語った。
「僕は悪事に加担したくない」
「だったら……」
「逃げろって言うの? 逃げ切れると思う?」
「……」
「死にたくはないから一応戦うけど、死んでもしょうがないと思ってるんだ。ごめんね、せっかくアドバイスしてくれたのに」
ああ。そうだったのか。じゃあ、何も言えない。戦えとも死ねとも言えない。
俺が黙っていると、
「戦えたら良かったかもしれないね」
と言って、おっさんは拳を握りしめた。
「あのクソ上司に『こんなノルマ無理に決まってんだろ!』『単価高過ぎだろ!』って言ってやれば良かった。どうせ死ぬなら自分の思う通り力いっぱいやってみれば良かったよ」
「……」
「後悔だらけだね、僕の人生は」
—–
翌朝、目を覚ますと、おっさんの姿がなかった。いつも俺より遅く起きるのに。
部屋から廊下に出てみると、
「おい、そこの!」
怒号が飛んできた。
え、俺? 俺に言ってる? 俺が見えてる?
「さてはお前、サイラスの仲間だな!」
あ然としているうちに、幾人もの兵士たちに囲まれた。
抜き身の剣――なんて存在感。人を殺すために作られた道具が何本も俺の喉元を狙っている。この場に立っているだけで心臓がつぶれそうだ。
そして、難なく捕まり、引きずられた。痛、い、痛い。痛いけど怖くて声も出ない。
どうなってんだ。なんで俺のことが見えて、触れる? 一体何があった?
兵士が俺の髪をつかみ、
「見ろ!」
と、乱暴に顔を上げさせた。
目に飛び込んできたものは――
おっさん
――の、生首。
「他にも仲間がいるだろう。吐け。さもないとこいつと同じ目に合わせるぞ」
ああ、そういうことか。バカな俺でもさすがにわかった。
おっさんは戦ったんだ。戦場ではなく、聖騎士たちと。聖戦ではなく、侵略だと主張して。訓練で手も足も出なかった男たち相手に、戦って、負けたんだ。
いや、負けなもんか。あなたは本物の戦士だ。前の世界でつかめなかったものをつかんだんだ。
「おい!」
怒声と同時に、腹を強く蹴られた。
激痛、吐き気。
うめく間もなく顎をつかまれ、
「何とか言ったらどうなんだ」
獣のような目が俺を睨みつける。
憑依先であるおっさんが死んだことで霊状態が解除されたんだな。でも、何が起きたかわかったところで俺にはどうにもできない。
「言っておくが、楽に死ねると思うなよ」
左腕に強い力がかかった。
折られる――と思ったその時、
「すみません! 遅くなりました!」
ググリさんの声。
次の瞬間、俺は虹色のトンネルのような空間にいて、一方向に流されていた。
「……危険な目に合わせてしまい、申し訳ありません」
ググリさんの姿は見えず、声だけが聞こえた。
「……転移者死んじゃいましたけど、あの世界はこれからどうなるんですか」
「さぁ」
「さぁ、って……」
「そもそも勇者や英雄として召喚されるわけではありませんから」
「じゃあ、転移って、何なんですか?」
「救済です。生まれ落ちた世界に適合できない人は常に一定の割合で存在します。そんな人にチャンスを与えるのが転移……ですが、近頃は転移先でより良い人生を歩めるよう過剰に取り計らう管理官が増えているようで」
「……ググリさんは現実主義者なんですね」
「幻滅なさいましたか?」
「いえ、別に。死んだおっさんの分まで、元のクソ現実で頑張ります。助けてくれてありがとうございました」
—–
「ねぇねぇ、サインちょうだいよ」
翌日、始業前の教室で、いつも俺のことをオモチャにしている粕野茶羅男(かすのちゃらお)がからんできた。
「サイン? なんで?」
タメ口で返されたことに腹を立てたのか、粕野は荒い声を出した。
「えー? だってさ、小説書いてるんでしょ? 小説家先生のサイン欲っしいな~」
「俺の小説読んだの?」
「……は?」
「読んで気に入ってくれたならサインするけど」
「はあ? 何急にイキってんの? お前何様?」
粕野は精一杯の迫力を出そうと頑張っている。
この前までの俺はこんなのにビビってたんだな。情けない。あの世界で触れた本物の殺意に比べたら屁みたいなもんだ。
「まだ読んでないなら今読んでよ。プリントしたのあるから」
「……あーあ、お前、つまんね。寒いわ」
粕野が俺に背中を向けたのと入れ違いに、池面が教室に入ってきた。
「おはよう」
俺に声をかけられたことに驚いたんだろう。池面は一瞬目を見開いたが、すぐに繕ったような笑顔になって、
「おはよ」
と返してきた。
「あのさ、視点が統一されてないってどういうこと?」
「え?」
「俺マジで何もわかってないから、もっと詳しく教えてほしいんだ」
「……」
「悪いところを直して、上手くなりたい。本気で小説家になりたい」
「いや、無理だよ、お前には」
「何が足りない? 具体的に教えてよ。やれるだけやってみたい」
「なんで俺がお前の手伝いしなきゃいけないの?」
「ライバルが欲しいんだろ?」
池面は数秒間、俺の目をじっと見た後、
「バラしてごめん。力になるよ」
と言った。
再び訂正する。この男はモテていい。
俺はモテなくていい。戦うんだ、あの人のためにも。
(了)
ディスカッション
コメント一覧
面白いと思う(小並感)。
名前の直球さ、僕は好きです。
もうちょい地の文多くてもいいんじゃないすかね?
俺も習作として面白いと思った
転生してもなんの能力もないのがシビアだけど実際そうなるよなあ笑
短いけど内容はうまくまとまってると思う
なろう空間というかネットのノリが前提なところがあるから
そういうのが苦手な奴には合わないだろうな
管理人の作品という先入観付きは良し悪しあるから
匿名作品なりなんなりの設定で作者伏せて晒したら感想も違うかもしれん
「説明されてないのか」が、個人的にツボりました
さわやかに読み終われて、嬉しかったです
さらりと読めて面白かったです。
地の文の割合はこれくらいの方がテンポがいいと思います。
気になったのは二点だけ。
>「腰が入ってない。踏み込みが浅い。脇が甘い。刃筋が立ってない。以上の理由でお前の剣術は不完全だッ!」
どちゃくそ怒られて、
この怒っている人が男か女か最初分からなかったので、「指南役の男にどちゃくそ怒られて」の方が分かりやすいと思います。
あと、クラスメートの名前があまりにもひねりがないというか……。
例えばイケメン君は「星野小路綺羅」、チャラ男君は「多田野茂武」なんてどうでしょうか。
今年一年お疲れさまでした。どうぞ良い年末年始をお過ごし下さい。
等身大のいい作品。楽しめました。
なにもそこまで自虐的にならんでもええやんか、まぁなんだ某まとレーベル等に比べればちゃんとやってますわ
どんな話かハッキリしてて面白かった。
あえて何か言うならだが、序盤の妹の役回りが半端で、終盤の粕野が唐突に感じたかな。
以下、感想の根拠と補足。
これは「行って帰ってくることで成長する」という類型を使ったストーリー。主人公が作者としての向上心を「持ってない」というマイナスから、「持ってる」というプラスへ移行している。
役回りとして妹は序盤のマイナス追い込み担当、粕野はプラスのスッキリ担当。
そういう話なもんだから、この二人がちょっと弱いのでストーリーの印象も弱まっているのではないか、と。
例えばこの二人を一人にしてしまえば、マイナスからプラスへの移行がシンプルになる。その上で妹による追い込みをもっと脅威に感じられるようになると、転生という判断に踏み切る主人公への共感が増すし、終盤のスッキリ感が増す。
あるいは二人のままでいくなら、異世界から帰還した直後に妹を少し出すことで今後のプラスを前フリとして予感させ、粕野については名無しにするか、それか序盤に妹の口から粕野の名前を出しておく手もあると思う。基本、終盤には名ありの新キャラを出さない方が話が締まる。
※1
ありがとうございます。
地の文が少ないのは※5の方がおっしゃるように一応テンポ重視だからなのですが、地の文で描くべき情景のイメージ不足もあると思います。
※2
ありがとうございます。
元の世界でのスキルやオタク知識を活用する話が好きなのですが、彼の場合は特に何の技能もありませんでした(笑)
※3
ありがとうございます。
ネットのノリは人を選びますね。
匿名で出すことも一瞬考えたのですが、「矢面に立つ」という主旨を優先して名乗ることにしました。
※4
ありがとうございます。
そこがツボるとは意外でした……(汗)
※5
ありがとうございます。
なるほど、作者が男と決めつけて書いてしまったパターンでした。
クラスメートの名前、短編のコメディーなのでふざけてしまいましたが、手抜きと感じられてしまうかもしれませんね。
どうぞ良いお年を。
※6
ありがとうございます。
学生時代を思い出しながら書きました。
※7
恐れ入ります。
アクセス数はまとレーベルさんの足元にも及びませんが、地道にやっていきます。
※8
ありがとうございます。
その二人、おっしゃる通りですね。
妹は何となく、粕野は帰還後を書き始めた時に思いつきで入れてしまったせいで、宙ぶらりんになりました。
短編でもキャラは先に整理しておくべきですね(推敲の段階で整理してもよいのでしょうけれども)。
久しぶりにネットで
実の入った作品を読ませていただきました。
文章の引き出し、組み立て、仕上がり。
どれをとっても見事だと思います。
管理人さんの書く別ジャンルも
読んでみたいと素直に思いました。
私なら…というのも久しぶりに
浮かびましたが、蛇足ですので
ここで失礼します。
テンポが良くて面白かったです
Web小説作りのお手本になります
私の場合、登場人物の描写が多くなってしまうので
※10
ありがとうございます。
自分が晒す立場になってドキドキしましたが、評価していただけて嬉しいです。
晒しの応募が長期間途絶えたらまた何か書いてみようかと思います。
※11
ありがとうございます。
これは短編なのでテンポを重視して人物描写は最低限に留めていますが、長編ならしっかり描き込んだほうがいい場合もあると思います。
面白かったです
最後のコイツはモテて良いは本気には本気で返すからですかね?
イケメンのキャラが少し分かりにくく感じました
元々、最初から馬鹿にしてた訳ではなく、ある意味優しさだったとか
半端に歪んだ動議でやるくらいならさっさと折れてしまった方が良い事もあるので、
そこまで考えて止めさせ様としてたなら、ある意味優しさでしょうしね
※13
ありがとうございます。
おっしゃる通り、「本気には本気で返したから」主人公も彼を再評価したのですが、何の前触れもないので唐突に感じられたかもしれませんね。
いつも本サイトを楽しく利用させていただいております。作品拝見しました。
サイラスさんの件については自身の駄目なところを3人称視点で見せつけられているということなんでしょうね。こういうのってなんか恥ずかしいですよね。
池面君についてですが、『俺に追いついてくれ』と煽っておきながら後になってアドバイスを求める主人公に向かって『お前には無理だよ』と言っているので、主人公を自分の手の中で転がして遊んでいるという印象を受けました。
あるいはカースト下位の主人公に対して外面を良くするため親身になってたけど、散々言い寄られるうちにうっとうしくなって『お前には無理だよ』や『なんでお前の力にならなければいけないんだ』という本音が出てしまったのかなとか、単純にイイやつとは言い切れないだけにいろんな解釈ができるキャラですね。こういうの結構好きですよ私。
参考にしたいので是非今度は3人称で書いたものを見てみたいですね。首を長くしてお待ちしてます。
※15 けのんさん
ありがとうございます。
池面の複雑さに注目していただけて嬉しいです。
一人称で、池面がどういう意図なのかわからないからこそ作れたキャラかもしれません。
三人称は実は一度も書いたことがないんですが、勉強になりそうですね……!
せっかくなので次に晒す機会があったら三人称に挑戦してみます。
ちょっと読み辛い…
※17
コメントありがとうございます。
web小説で読みにくいというのは致命的ですね。精進します。
今更ながら読ませて頂きました。
とてもクオリティの高い作品で、書いた人が物語というものを熟知していることがよく分かりました。
おじさんの生首が登場するシーンも、ただただ残虐なシーンを盛り込めば良い というのでは無く、事前に主人公との絆がしっかり描写されているので思わずハッとしました。
現実から逃げてばっかりの主人公が異世界で、同じく逃げてばかりのおっさんと関わることによって主人公が変わる(成長する)というコンセプトは王道かつメッセージ性の強いものだと感じました。
主人公が「現実から逃げてばっかりじゃいけない」という真理に自力で気付いた後の描写も適切で良いと思います。
「転移は合わない世界に生まれてしまった者の救済措置」であり、妖精が主人公に「貴方を完全に転移させても良い」と甘い言葉を投げ掛けるシーン
(実際投げ掛けてはいませんが、ボカしてる辺り私はそう解釈しました)
主人公が自分の意志でしっかり断ったのが印象に残ります。
このシーンからも「現実から逃げちゃいけない」というテーマが最初から一貫して浸透していることがよく分かります。
「合わない世界なんて言い訳をしてるようじゃこの先何も達成出来ない」
「転移先の世界でも現実は否応無しに襲ってくる」
2人がそういった真理に気付くまでの過程も好きです。
逃げ腰の2人がお互いのダメなところを言い合う中で気付くのが良いですね。皮肉が効いてます。
特に物語として欠点は無いと思いましたが強いて言うならもっと刺激が欲しいかなと感じました。
起こるべくして起こってしまうどうしようもない悲劇、現実が絶望を叩きつける瞬間、人間のドス黒さ
ドでかいのが1つあるだけで与えられるインパクトも違うと思います。
具体的に言うと、生首が登場する前後のシーン、またはあのシーンそのもの辺りは工夫次第でもっと凶悪なシーンに出来そうです。
周りの男たちのセリフ次第でもっとエグくなる気がします。
勿論そのままでも充分機能しているとは思いますが。
好みの問題でもあるので必ず変えた方が良いって訳ではありません。
良い作品を読ませて頂きありがとうございました。
学んだことは私の糧にさせて頂きます。
超しっかりしたご感想ありがとうございます……m(_ _)m 書いた甲斐がありました。
「刺激」という点、書いている時もこの世界に関する具体的視覚情報がちょっと足りないかなとは思っていたので、その不足も影響しているかもしれません。快適なナーロッパではないんですよということしか提示されてないんですよね。
短編だから成立している要素も色々あるとは思いますが、また何か書いてみたいという気持ちになりました。短い返信ですみません。ありがとうございます。
その他の最新コメント一覧にこの記事があがっている気が……
管理人の作品だから少し違うタグになっているのかな
ご指摘ありがとうございます。「管理人のつぶやき」タグが含まれていたので両方に上がってしまいました。他意はありませんm(_ _)m タグは外しました。