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1月25日、京都新聞が「視聴率優先主義」に関する対談を掲載しました。
出版業界の「売上至上主義」や“小説家になろう”の「PV至上主義」にも通じるものを感じたので紹介します。
経済に限らず、成長や発展を志向するのは人間のさがかもしれません。ただ最近は、数字が上向くことに気を取られ、成長の質は二の次になる傾向が強まっている気がします。教育やモノ作り、農業、そしてお笑いの世界でも…。そんな風潮について、思想家で京都大名誉教授の佐伯啓思さんと、かつてテレビ番組で活躍した後、芸能界から姿を消し、書家や大学講師など多彩な顔をひっさげてメディアの世界に戻ってきた越前屋俵太さんがユーモアをまじえて語り合いました。
佐伯 家に引きこもるのではなく、山に引きこもったんですね。期間はどれくらいですか?

俵太 5年ほど、ぼおっとしてました。京都市北部の田舎で、たき火をしたり、夜空を眺めたり。この対談のテーマは「脱・成長主義」ですが、僕は成長すること自体やめちゃった(笑)。

佐伯 確かに、昔とあまり変わってない(笑)。でも、なぜ心が折れたんですか。人気も上がってたのに。

俵太 一言で言うと、テレビの視聴率優先主義と闘っていたんです。数字を取るためにはウソもつき、やらせもする。それが嫌で、地域を歩きながら偶然出会う人たちとおしゃべりする番組を、自分で企画したんです。福井テレビの「達者でござる」というローカル番組で、テレビでは当たり前だった予定調和を全てなくしました。

佐伯 NHKの人気番組と似ていますね(笑)。

俵太 NHKから「参考にしたい」と、福井のディレクターが話を聞かれてました(笑)。番組を始めた時は僕も有名じゃなかったし、お奉行さんの格好だったので、声を掛けてもみんな怖がって家の中に隠れた(笑)。それが視聴率30%を超す人気番組になり、当時全国ネットで有名だった「料理の鉄人」を破って民放の賞をもらいました。

佐伯 すごいですね。

俵太 でも、NHKのように全国放送にもっていくのは無理でした。僕は芸能事務所に属してなかったし、コネもなかった。(ビート)たけしさんから「越前屋、いくらアイデアがあっても番組はできねえ。テレビ局のプロデューサーとかプロダクションの力とかが大事なんだ」と言われたことが身にしみましたね。タレントとして芸能界でいかに生き残るかより、制作者としてメディアの可能性を真剣に考えていたら、だんだん周囲も自分も許せなくなって。後で思えば、業界の構造の中で勝てるわけがない。もしかしたら負けたくて、闘ったのかもしれません。

佐伯 ほとんどの人は、納得できずに闘おうと思っても、やはり妥協してしまう。でもそうならなかったんですね。僕も昔から社会に対する違和感があって、学者になる気もなかった。大学に勤めていても学会には属さず、他の学者との付き合いもあまりない。
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質のいいものを作っていればいつかは報われるってよく言いますけど、そうでもないんじゃないかと。
今は娯楽の選択肢が豊富ですから、最後まで気づかれずに埋もれていくこともザラですよね。
コンテンツの質を高める努力とは別に、売るための努力も結局必要なんだろうなと思います。



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