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    小説

    残像に口紅を
    カバー・扉=舟越桂(協力=西村画廊)/本文イラスト=山内ジョージ/発行所=中央公論社

    漫画『スラムダンク』の高頭監督が言っていたように、「奇策」というものは現実にはなかなか成功しないものです。風変わりな作戦が華麗に決まるのはフィクションの中の出来事で、実際には正攻法が一番強いものです。強いから正攻法だとも言えます。

    それはスポーツや戦争に限らず、創作の世界でも同じことです。奇策を弄するものではありません。「今までにない斬新な手法で作りました!」と言われても、ほとんどの人は真に受けないか、期待しないでしょう。手法になんかこだわっていないで内容で勝負しろ――と思うでしょう。

    「使える五十音を少しずつ減らしていくという奇策を用いて書かれた小説」と聞いて、百人中何人が期待を抱くでしょう? ピュアに「面白そう!」と思う人は稀で、「試みは面白いと思うけど内容は期待できない」とか、「最後までやり切った努力は認めるけど内容は期待できない」と思う人が大半なのではないでしょうか。
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    劇場
    装画=大竹伸朗「路上1」1990年/装幀=新潮社装幀室/発行所=新潮社

    『火花』で芥川賞を受賞した又吉直樹さんの二作目の小説です。劇団の脚本・演出としてくすぶり続けている主人公が、神様のように優しい女の子と出会って、くすぶりを延長してしまう話です。
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    コンビニ人間
    装丁=関口聖司/発行所=文藝春秋

    2016年に芥川賞を受賞した作品です。れっきとした文学作品なのに、ほとんどマンガみたいなスピードで読むことができます。一ページあたりの文字数が比較的少ないせいでもあるでしょうが、「視点が主人公に統一されていること」、「思考の明快さ」、「コンビニという誰もが知っている場所が舞台になっていること」、そして何より「面白さ」のためでしょう。
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    ハツカネズミと人間
    カバー装幀=沢田としき/訳=大浦暁生/発行所=新潮社

    1937年発表、カリフォルニアの農場を転々とする労働者たちの物語です。ほとんどの男たちが一人で生きているのに対し、主人公のジョージとレニーはコンビで渡り歩いています。
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