銀英伝
カバーイラスト:星野之宣/カバーデザイン:岩郷重力+WONDER WORKZ。/発行所=東京創元社

この記事を書いている時点で、実はまだ全11巻中の4巻までしか読んでいません。それでもこれは名作だと断言できます。無人島に何か1つだけ持っていけるとしたら、僕は迷わず『銀河英雄伝説』全11巻を持っていくでしょう。

以前から名作だと何度も耳にしていたのですが、これまで手に取らなかったのは、「宇宙バトルに興味がないから」でした。どのぐらい興味がないかというと、エヴァは全話2周見ているのにガンダムはファーストの途中で見るのをやめてしまったぐらいです。スターウォーズも未見です。そんな僕でも銀英伝は読み始めてすぐドハマリしました。

何しろこの作品は、宇宙バトルではなかったのです。タイトルが「銀河」で「英雄」で「伝説」なんだからこれは誰が見ても宇宙バトルものだろうと思うでしょうし、実を言えば宇宙バトルなのですが、銀英伝は未来の設定なのに古風なのです。
銀英伝の世界は「歴史は繰り返される」という信頼度の高い仮定に基づいて描かれています。実際にこの地球で起こった戦争・事件にたびたび言及し、それに似た状況を宇宙という舞台で再現しています。すなわち、フィクションでありながら、立派な未来予測になっているのです。

戦闘に関しても、現在までに地球上で起こった集団戦・艦隊戦がベースになっているので、ダイナミックさとリアリティが両立しています。超パワーや超エネルギーは(戦況をひっくり返すようなものとしては)登場しません。戦術より戦略、戦略より政治が趨勢を決めるという点も非常にリアルです。

このように書くと「難しそう」と思われるかもしれませんが、銀英伝はびっくりするほどサクサク読めます。かと言って語彙のないライトノベルみたいに幼稚なわけではありません。非常に巧みです。きらびやかで軽いのに強いのです。RPGの武器にたとえると、攻撃力99・かっこよさ99・重さ10の小剣みたいなものです。



SF作品は「設定が(SFマニア以外にとっては)緻密すぎ」という落とし穴に墜ちているものをしばしば見かけます。そんな中、銀英伝は設定を見せびらかすようなところは少しもなく、必要に応じて軽く説明する程度にとどめています。こういうスマートさが、宇宙バトルに興味がなくても読める一因と言えるでしょう。

登場人物は大勢いますが、久々に出てくる時はさりげなく「前回までのあらすじ」みたいなことや「容姿のおさらい」みたいなことを添えてくれています。なので、登場人物一覧をほとんど見返すことなく読み進めることが可能です。



「宇宙」に一切関心がなくても「歴史」や「政治」に興味があればハマる――それが銀河英雄伝説です。あと、イケメンがいっぱい出てくるので、腐女子の皆さんが妄想ネタに困ることはないでしょう。




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