中国の小説投稿サイトは日本よりマネタイズに積極的らしい

2019年10月24日



中国語で網絡文学とされる中国のネット小説。その現状は、日本より遥かに規模が大きく、少なくともネット小説のユーザー数は3億人を越え、小説投稿サイトのアクセス数は1日あたり15億 PVとされます。これは日本最大手である「小説家になろう」の一か月分の PV 数に相当するレベルです。

この膨大なアクセス数を誇る中国の小説投稿サイトでは、1日における投稿文字数は2億文字を超え、連日膨大な数の新しい小説作品が投稿されるかたちで、小説投稿サイトとしてのスピード感や市場規模は現状において日本の比ではありません。

そんな中国における老舗にして最大の小説投稿サイトが「起点中文網」。同サイトでは「玄幻」と呼ばれる剣と魔法、仙人、武侠(武術に長け義理を重んじる主人公もの)、異世界転生などが入り混じったジャンルが人気を博しており、このあたりは日本のWEB小説と相通じるところがあるかもしれません。

ただ日本の小説投稿サイトと明確に異なるのはその収益モデルでしょう。

中国の小説投稿サイトにおいては、マネタイズに関して明確に日本より積極的に進められており、1000文字あたり0.05元前後(0. 8円ほど)の課金に加え、「投げ銭システム」(気に入った作家に任意のお金を支払う仕組み)の併用なども行われています。

実際に課金ユーザー数は1000万人を超え、中国の小説投稿サイト運営におけるシェアの大部分を握るテンセントは、作家に対し年間で10億元(約166億円)近い印税を支払っているとのことです。

結果として同国のネット小説家のトップとみなされる唐家三少(Tang Jia San Shao)氏の印税は、ゲームなどのマルチメディア展開の成果もあり18億円を超えるとされています。

日本国内における小説投稿サイトの最大手は「小説家になろう」。しかし同サイトを運営する株式会社ヒナプロジェクトは、広告収入や同サイトで開催された小説コンテスト関連の収入等はありますが、メディアミックスの主体――つまり、投稿サイトの運営、書籍の製作・販売、その後の映像化などまで広い範囲を手がける事業者――としてサイトを運営してはおりません。

その意味において、テンセントの成功例にみるメディアミックスを前提とするならば、上流から下流までの作品の権利を一元管理することが望ましく、その上で優れたIP獲得を目指すならば、一番上流となる小説投稿サイトを自社で運営することは理に適った選択と言えるでしょう。

実際にそのことを裏付けるように冒頭で取り上げたLINEノベルにて、LINE株式会社・日本テレビ放送網株式会社・株式会社アニプレックスの3社共同で、新たな文学賞「第1回 令和小説大賞」が開催されることが発表されました。

大賞受賞作品には賞金300万円と書籍の出版確約、そして作品の映像化権が与えられます。まさにこれは新たなIP発掘を目的とした小説事業を象徴する文学賞と言えるでしょう。

出版不況が叫ばれる昨今ですが、1996年には2兆6000億円だった書籍と雑誌の推定販売金額が、実際に現在では1兆2800億円台と最盛期の半分近くにまで減少してきています。

ですがこの状況下において、ネット小説分野以外でも森見登美彦氏などを輩出した日本ファンタジーノベル大賞が休止期間を経て復活するなど、小説事業において守りから攻めへと転じる動きが出てきています。

そしてその攻めを象徴するまさに一分野が、群雄割拠となりつつある国内の小説投稿サイトであることは間違いないと言えるでしょう。

競争激しい小説投稿サイトの未来形が隣国である中国のテンセントなのだとすれば、果たしてどのサイトが国内の覇を唱えるのか。今、小説を起点としたコンテンツビジネスから目が離せません。

出典:10億円稼ぐ作家も!中国で「小説投稿サイト」ビジネスが爆成長中(津田 彷徨)

 

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1000文字0.8円というところを二度見してしまいましたが、夢はありますね。

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