30代で無職になった男性、ゲーム開発者として成功

 勤務先だった米シリコンバレーのスマートフォンゲーム開発会社がつぶれ、30代で無職になった男性がいる。ゲーム開発者の佐藤大悟さんは「(幸せな)あの日々が永遠に続くと思っていた」と当時を振り返る。開発中のゲームは全てリリース中止。「自分がやりたいことは何か」を考え直した佐藤さんは、「好きなゲームを作り、Google社員並みのリッチな生活を送りたい」と考え、モバイル向けのインディーゲーム開発者として生きる道を決めた。2年間の試行錯誤を経て「サラリーマンよりはもうかっている」という。

黙々とゲームを作り続け、App Storeの特集ページでピックアップ(フィーチャー)される作品も複数出てきた。そのうちの1本「くまのレストラン」は、死者の“記憶のかけら”を頼りに生前の好物をふるまう──というストーリーのゲーム。いわゆる「ガチャ」の要素はなく、本編のストーリーは無料でプレイできるようにした。佐藤さんは、追加ストーリーの販売やアプリ内の広告などで収入を得ている。

好きなジャンルのゲームを制作して生きていくために、どのようなことを心掛けているのか──ゲーム開発者イベント「CEDEC 2019」(9月4日、パシフィコ横浜)で、佐藤さんがノウハウを語った。

「ないないづくし」のゲームデザイン

佐藤さんは、ゲームデザインについて「ユーザーからの期待値を下げることが重要だ」と話す。佐藤さんが作るゲームは(1)低解像度のドット絵のみを使い、高解像度にはしない、(2)スマホの縦持ちに特化し横持ちにはしない、(3)画面はスクロールしない、(4)バトルシステムもなし、(5)オンライン要素は避ける──というように「ないないづくし」という。

低解像度のドット絵にこだわるのは、グラフィックが高解像度だと「ユーザーの想像力に頼れなくなったり、必要な描き込みやアニメーション数が増えてしまう、といった理由から。スマホの横持ちに非対応なのは、ユーザーが家庭用ゲーム機の画面を連想し、高いクオリティーを求めてしまうのを防ぐ狙いがある。

画面のスクロールを実装すると、ゲーム内のマップを広くしなければならず、開発に工数がかかる。バトルの機能も同様で、対戦システムの実装だけでなく、キャラクターを成長させる仕組みも導入しなければならず、開発者の負担が大きい。オンライン要素は、アプリを複数作成してリリースしていくことを考えると、サーバの管理コストが増大する可能性がある。こうした負担をなくすためにも、機能を絞っているという。

ゲームデータ以外は徹底して共通化

佐藤さんは「売上-開発コスト-マーケティングコスト=利益」という計算式を挙げ、開発コストをいかに最小化するかが重要だと話す。「開発コストは開発者自身がコントロールできる。いかに賢く作るかを考えるべきだ」

開発コストを削減するため、佐藤さんが取り組んでいることは、作成する複数のゲームで、できるだけゲーム機能を共通化すること。課金や広告表示の他、ユーザーが不具合を報告するクラッシュレポート、音量・振動などの設定画面といった、ゲームデータ以外の部分を「1回作って終わりにする」という発想だ。

「例えば、ゲーム内に広告を導入するには、どのタイミングで広告をロードして表示するかを管理する仕組みなどを、地味だけれど裏で用意しておく必要がある。(そうした仕組みを)ゲームアプリを作るごとに開発したくないので、使い回したい」

プレイの継続率が低くても、もうける方法

佐藤さんの場合、「自分が作りたい『ストーリーゲーム』というジャンルのゲームをどのようにマネタイズするか」が課題だった。代表作「くまのレストラン」の場合、ユーザーがストーリーを2時間ほどで読み切ってしまい、その後はアプリを開く機会が少ないため、プレイの継続率が低いという。

そこで佐藤さんは、本編部分は無料で遊べるようにし、気に入ったユーザーには追加のストーリーを購入してもらう仕様にした。追加コンテンツは、ユーザーが“課金”をしなくても、ミニゲームをクリアすれば見られるようにしたが、厳しいクリア条件を緩和するには広告を閲覧する必要がある──というギミックを設け、収益化につなげた。

またクラウドファンディングをヒントに、スポンサー課金という仕組みも導入。一定額を支払ったユーザーの名前をスタッフロールに載せたり、特典を付与したりするというものだ。

ゲームを作るときは、どれくらいもうかるか、事前に見積りはするべき。リリースするまで利益が出るか分からないのは、精神的によくない。見積りの結果、明らかに課金の単価が低いのであれば、改善のきっかけになる」(佐藤さん)

「ゲーム業界で働いている人は、お金だけのために働いていない」

佐藤さんは、講演の終盤「1人でゲームの全てを作ったわけではなくて、制作ツールを作ってくれたり、音楽を考えてくれたりした友人がいる」とも話した。佐藤さんは以前、ディー・エヌ・エー(DeNA)に勤務していたとき、ベトナムでゲームスタジオを立ち上げた経験がある。その際、知り合ったイラストレーターやプログラマーに作業の一部を外注している他、学生時代にネット上で仲良くなった友人にも協力を仰いでいるという。

佐藤さんは「ゲーム業界で働いている人は、お金だけのために働いていない。(外注する際は)相手が何を大事にしているかを考えたほうがいい。例えばアーティストなら画集を出したい、作曲家なら自分の曲を有名にしたい、という思いから(実績を積むために)協力している」とも述べた。

出典:ITmedia NEWS

 

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戦略的でかっこいいですね。

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Posted by yomisoku