【晒し】薬師の弟子
今回は管理人作品です。
去年の大晦日は一人称の軽いやつを書きましたが、今年は三人称の重いやつを書いてみました。
約10000字の掌編です。
一応R18としておきます。
なろうだったら適切なタグをつけないとクレームが来るやつかもしれません。
今までずっと一人称 or 三人称一元視点で書いてきたので、三人称神視点はこれが初めてです。
読みにくいところがあったら教えてください。
他にも何かお気づきの点がありましたら遠慮なくご意見ください。
重箱の隅をつづくようなことでも歓迎です。
今年もご訪問ありがとうございました。
2周年のご挨拶以降、記事の更新時刻を
8:20・12:20・16:20・18:20・20:20・22:20
としていましたが、朝~昼は伸びる気配がないのと、Google先生のご機嫌が治らず(´;ω;`)1日に6本も更新しても大した収益にならないので、1月からは
16:20・18:20・20:20・22:20・0:20
のうちの4~5回(晒しは例外的に8:20)とさせていただきます。
来年も読み速をよろしくお願いします。
薬師の弟子
弓を支える左腕に、握り拳ほどもある深緑色の蜘蛛がぽとりと落ちてきて、トクサは悲鳴を飲み込んだ。
白く長い産毛が全身隅々まで、それこそ脚の節まで覆い、赤黒い複眼が飛び出ている。見るからに有毒。だがトクサの右手はすでに矢を引いている。その手で払うわけにはいかない。
まだか。
茂みに身をひそめるトクサの視界の先では、女薬師のアサギが槍を構えている。
サライガラスに狙われていた。この大型の猛禽類は一度定めた獲物を執拗に何度も襲い、相手が疲れ果てたところを捕え、雛の餌として持ち帰る。餌にするのではなく持ち帰った生き物を育てているのだというおぞましい説もある。
(ぐっ……!)
噛まれた。左腕。
燃えるような痛みが肩まで走る。
毒の程度によっては左腕が二度と使えなくなるかもしれない。一度矢を離して払うべきだったか? しかしその隙にサライガラスが来ていたら先生が危なかった。先生のことは俺が守るんだ。命に代えても。
トクサは左手の指先に強い痺れを感じた。そして蜘蛛はまだ腕の上にいる。
まだなのか。
来てくれ、早く!
そう念じた時、サライガラスの鋭い鉤爪がアサギの槍の柄をつかんだ。まさに刹那の出来事であった。サライガラスは音もなく背後からアサギを襲い、アサギはすぐさま反応して槍で防いだのである。
そして次の瞬間、トクサが右手を離し、放たれた矢はサライガラスの足の付け根に突き刺さった。矢尻に塗られたウバステグサの毒が稲妻のように血管を走る。
漆黒の巨鳥はぐらりと体を傾げ、地に伏したが、絶命してもその鉤爪は槍の柄をつかんだままであった。
「……! 先生」
目覚めたトクサは、アサギの背中の温もりに慌てた。
真夏の太陽のように美しく力強い薬師は、器用にも弟子を背負ったまま二人分の荷物を抱え、歩みを進めていた。
「すみません、自分で歩きます」
「いいさ、まだしばらく休んでな」
「でも……」
「それより、気分はどうだい」
左腕の患部には布が当てられ、さらに別の布できつく上腕が縛られている。まだ痺れはあるが、痛みはだいぶ和らいでいた。
アサギが花のような唇で毒を吸い出してくれている間、意識をなくしていたことを、トクサは惜しいと感じた。同時に、そんな邪なことを思う余裕があることに気づいた。
「手当て、ありがとうございます」
「まったく、無茶をする」
「すみません」
「あんたには助けてもらったんだし、小言を言うつもりはないけどね、トクサ」
「はい」
「薬師は自分の体を大事にしなきゃいけないよ。私たちが倒れたら誰がみんなを治すんだい?」
「……はい」
トクサは村で伏せっている人々のことを想った。粗末な筵の上、弱々しい呻き声を上げながら、少しでも楽な姿勢を探して寝返りを繰り返している。自分たちが薬を持ち帰らなければ、村は滅びる。
左の拳を握り、どうにか力が入ることを確かめると、トクサは「もう本当に大丈夫です。自分で歩きます」と言った。
アサギは「よし」と言って、膝をついた。
トクサたちの住むミビツシの村から、施薬院のあるコクヨウの村まで片道三日。旅の障害となるのは、山道の険しさ、野生動物、そして人間である。
行く先の樹上の気配に、アサギとトクサは同時に気づいた。しかし二人は何も言わず、軽く目配せをしただけで、そのまま歩き続けた。
悟られていることを知らない野盗は、錆びた刀を逆手に握り、梢からアサギ目掛けて飛び降りた。そして、アサギの鋭い視線が己を捉えた時、空中で死を覚悟した。
串刺しにせんと繰り出しかけた槍を、アサギは慌てて返し、石突きで野盗の胴を打ち払った。というのは、相手が年端も行かぬ少年だったからである。
「刀を捨てろ」
弓を引くトクサの冷たい声が響いた。
地面に転がった少年は、獣のような瞳でアサギを睨みつけ、歯を食いしばりながら立ち上がった。
器用に受け身を取っていたがどこか折れているかもしれない――とアサギは思う。
「もう一度だけ言う。刀を捨てろ」
七つか、八つ。相手はおそらく自分の半分ほどしか生きていない子供だが、トクサは気を緩めない。
「殺せよ」
噛みつくように少年が言った。
「もう三日も食ってない。それに、今日何も持ち帰らなきゃ、親方に殺される」
「お前の事情なんか知るか」
トクサは少年の敏捷さを警戒している。この距離ならきっと一瞬で間合いを詰めてくるはず。
「これで最後だ。刀を捨てろ」
「殺して取れよ」
「素手の子供なら見逃しても怖くない」
「誰が見逃せなんて言った?」
少年が微かに膝を溜め、突っかけてこようとするのをトクサは見逃さず、弓を支える左手に力を込めた。傷の痛みは意識の外にあった。
一触即発の二人の間に、小さな革の袋が落ちた。
「それを持って消えな」
アサギの言葉に、トクサは耳を疑った。
「先生、何のおつもりですか」
アサギは答えない。そして、少年に対しても何も言わない。
もうこんな真似はやめろ。親方とやらの元を離れて、真っ当に生きる道を探せ。――そんな綺麗事が通じるはずもない。彼だってできるならそうしたいに決まっている。生き方を選ぶ立場にないのだ。
彼を今の境遇から救ってやる暇も義理もない。だが、この場で死なせるのは忍びない。金と食糧をくれてやるのはアサギなりの妥協である。
少年は唖然としていた。今まで他人からの施しを受けた覚えがない為、アサギの行動がただただ理解できずにいる。
「先生!」
トクサが弓を構えたまま、再び抗議の声を上げた。
「たった一日分の食糧とはした金だよ」
「この際食糧は構いません。しかし金は……」
当時、村内では物々交換が基本であり、金は交易にのみ用いられる貴重品である。
村中からかき集めたなけなしの金。薬の代金と、コクヨウの村に至るジムングの橋の通行料とを合わせると、余分はない。
「足りるさ。通行料は何とかなる」
「……」
「さぁ、もう行こう」
そう言って、アサギは少年に背を向け、さっさと歩き始めた。
トクサは迷った。少年が改心するとは思えない。放っておけば背後から襲われる可能性もある。せめて刀だけでも奪うべきでは?
しかし、アサギが十歩ほど先へ行ったところで、ついにトクサは弓を引き絞るのをやめ、「次は殺す」とだけ言って、師の後を追った。
日が暮れて、二人は適当な木の根に腰を下ろし、雑炊と干し肉の簡素な食事を済ませた。
「都の子供でしょうか」
と、トクサが昼間の少年について言った。
「だろうね」
と、焚き火を見つめながらアサギが答えた。
ミビツシの村には都とやらに行ったことのある者はいない。一度だけ、都の商人が村を訪れたことがある。少年の服装はそれとよく似ていた――ひどく傷んではいたが。上衣と下衣が分かれていて、トクサたちが着ている貫頭衣とは明らかに異なる。
「都はとても豊かなところだと聞いていましたが……」
「……親方とやらは、豊かなんだろう」
アサギは少年の身なりと言葉から、都をその目で見ることなく、強者が弱者を虐げる構造を察していた。
都の現状はおおよそアサギの考えた通りである。王と貴族の住まいは豪華だが、最下層の人間は「未開」の村々より貧しい暮らしをしている。
「トクサ」
「はい」
「甘かったと思うかい」
刀も奪わずに逃がした。自分の甘さのせいで、見知らぬ旅人が襲われるかもしれない。
「でも先生は、どうしても救いたかったんですよね」
一見気丈そうに見えるアサギの内面の脆さを、トクサは好ましく思う。それを見せてくれることも信頼の証と受け取っている。
「目の前の人間を救いたいから、先生は薬師をされているのでしょう」
「逆だよ。薬師だから、目の前の人間を救わなきゃと思ってる。薬師になったのは親の後を継いだだけさ。弟が死んで、私しかいなかった」
「……」
「トクサ、お前一人なら、最後にはあの子を殺していただろう。そのほうがよかったかもしれない。より多くの人間を救うには非情になるべき時もある」
「そんなに悔いておられるのですか」
「いや、何もかも私の真似をしなくていいと言いたかったんだ。お前はお前なりの薬師を目指せ」
「……」
「傷は痛むか?」
「いえ、もうすっかり」
嘘である。弓を引いた後、また痛みがぶり返してきていたが、これ以上問題事を増やしたくなかった。ジムングの橋の通行料をアサギがどうするつもりなのか、トクサは知らない。
「……寝ようか」
「はい。おやすみなさい」
「おやすみ」
二人は横になり、目を瞑った。
焚き火のはぜる音と、名も知らぬ虫たちの鳴き声が、ひっそりとあたりを包む。
ひどく疲れてはいたが、トクサは寝付けず、目を開いた。木々の間に星々が見える。夜空の広さを前にして、自分はひどくちっぽけだと感じた。
寝付けないのは、傷の痛みより、アサギがすぐそばで横になっているからである。
健全な男子であるトクサは――重責を負った旅路にそんなことを考える自分を恥じながら――何かが起こることを心のどこかで期待していた。年は九つも上だが、女のほうが上ではいけないという決まりはない。
「……」
これが叶わぬ恋であることをトクサは理解している。
村では男子が十二になると許嫁があてがわれる。誰と誰が夫婦になるかは長老たちが寄り合いで決める。子供に逆らう権利はない。
トクサにもノシメという許嫁がいる。
ノシメも十分かわいらしい女だ。幸運と思わなければ。――そんなことを考えている時点で、アサギと比べていることを認めないわけにはいかない。
あと五年もすればノシメもアサギのようになるだろうか。どうもそうは考えにくい。顔の造形も体つきも、まったく別の生き物としか思えない。
トクサは物心つかぬうちに両親をなくしていて、アサギは師である以前に姉代わりであり母親代わりでもあった。つまりはすでに家族である。そんな相手に惚れるとはとんでもないことなのではないかと一時は悩んだ。しかし、自分の身体の成長に伴い、アサギと結ばれたいという思いが抑え切れなくなっていた。
彼女が独り身でなければトクサも諦めざるを得なかったかもしれない。無論アサギにも許嫁はいたが、夫婦となる前にその相手は病で死んでいた。
アサギは、美しかった。目が大きいのに顔全体は小さく、遠くにいても目立つ。背はトクサよりわずかに高く――あと少しで追い越せる――胸が豊かで、足腰は日々の薬草探しで引き締まっている。
ノシメとも違うし、他のどの女とも違う。アサギがいつか村の老婆たちのようになるとトクサには思えない。アサギはアサギのままで歳を取っていきそうな気がする。
(もしも、今、先生の体に触れたら)
できるわけがないとわかっている。けれど、何しろすぐそばで、寝息を立てている。
下腹のあたりが疼くのを感じながら、トクサは自分を戒める。
(馬鹿め、それどころではないだろう)
ノシメも病に倒れた一人であった。
肌が白く、常に控え目で、気配りができる。アサギが大輪のボタンならノシメはスズランの花。村の男友達は、言葉にこそしないが、彼女をあてがわれたトクサを羨んでいる雰囲気がある。
ノシメを――許嫁を助けるための旅だ。この旅を通して俺たちは夫婦になるのだと、出立前、トクサは思い定めていた。
眉間にしわを寄せ、苦しげに呼吸をしているノシメの顔を思い浮かべることで、トクサはようやくアサギへの劣情を振り払った。
◆ ◆ ◆
「私が支払います」
「何を言ってる? 金はないんじゃなかったのか?」
「ええ、ですから、私が」
アサギは――世の男たちが自分をどう見ているか知っている。トクサが例外でないことも。
ジムングの村長がニヤリと口角を上げた。部屋中の男たちの視線が自分の身体を舐め回すのを感じながら、アサギはトクサに心の中で詫びた。
(軽蔑しただろう。それでいいんだ。お前にはノシメがいる)
ミビツシの村にはない、板張りの床に正座して、トクサは発狂する寸前であった。
先生が、払う?
どういう意味だ。
金ではなく、先生が。
まさか。
違うと言ってくれ。
けれど、男たちのあの目、汚らしい笑み。
やはりそうなのか。
駄目だ!
そんな、ただ橋を渡るだけのために、どうして先生が。
「精一杯努めさせていただきます故……」
艶やかなアサギの声が室内に響く。
愛弟子を思ってのことであるとは言え、胸が痛んだ。
(いつかわかってくれるだろうか。……いや、そんなことを望んじゃいけない。あばずれだと思わせたほうがこの子のためなんだ)
トクサは拳を握り、膝の上に視線を落として、アサギを救う方法を探している。
今すぐアサギの手を引いて走り出し、追手は一人残らず射倒す。橋の見張りも射倒して、コクヨウの村まで駆ける。――そんな絵空事を、本気で考えている。
そもそもあの子供のせいで……と、ここでトクサは気づく。
「通行料は何とかなる」。先生は確かにそう言った。
では、あの時から先生は身を売るつもりだったということか?
あり得るか、そんなこと!
あんな見ず知らずの子供のために!
「お弟子さんには寝床を用意させよう」
「ありがとうございます」
話がまとまったらしい。
先生、どうして。
身を売ってまで人を救おうとするのが薬師なのですか。
それとも……
……
……考えたくはない。
けれど考えてしまう。
先生は、そういうことが、好きなのですか?
喜んで男と寝るのですか?
「どうした、坊主」
自分に声が当たるのを感じて、トクサは瞳孔が開いたままの目で村長を見た。
「なに、心配するな。手荒な真似はせんさ。大人同士、ちょいと楽しむだけだ」
本気で親切げに言うその男の、肉体に、トクサはこの世から消えろと念じた。
あの大きな手が。
髭に覆われた口が。
今宵。
先生の身体を。
「それとも坊主、お前も混ざるか」
どっと起きた笑い声を、トクサは生涯忘れないだろう。
トクサには酷なことだが、実際、アサギは男と交わることが嫌いではなかった。村長の見目も悪くはなかったし、見目にこだわるほうでもない。
それは生殖行為であると共に――あるいはそれ以上に――貴重な娯楽である。ミビツシの村でも、表面上は一夫一婦でありながら、裏ではかなり自由な恋愛が行われている。男女共に「浮気」に寛容な社会であり、兄弟が似ていなくても驚くに値しない。
だが。
そんなことは、トクサには関係ない。
知っている者と知らぬ者との間には果てしなく高い壁がある。アサギにとってのそれは人生の中の一度に過ぎないが、まだそれがどんな風であるか知らぬトクサは「ただの一度」では済ませられない。重みが違い過ぎる。
案内された部屋の柱にもたれて、トクサは暗闇を見つめていた。そして、幼い頃に見たアサギの裸体の朧な記憶を、思い出そうとしたり打ち消そうとしたりしていた。
村の男友達が数名連れ立って、男女の密会によく使われるという巨木の洞を覗きに行ったことがあったが、トクサはその輪に加わらず、話も聞かないようにしていた。興味がない振りをした。
トクサは、見たことすらない。
想像すらできないということが嫉妬を加速させた。
今頃先生はあの男と。
会ったばかりなのに。
どんな顔をして。
体のどこを。
どんな風に。
どんな声で。
(無理だ)
トクサは立ち上がった。
それから、足音を忍ばせ、小屋を出た。
誰かに見咎められたらそれまでのこと。
見たい。
浅ましいが、どうしても見たい。
知らずにはおけない。
何もかもを捨てる覚悟で、トクサは村長の家を目指した。
村中寝静まっている。かがり火は焚かれていないが、月明かりが眩し過ぎるほどだった。
そして、すんなりと辿り着いてしまった。厚手の布を垂らした入り口をくぐると、奥のほうから、聴こえてきた。
聴いてしまった。
トクサは下腹部に疼きが集まっていくのを感じながら、息を殺して声の元へ進んだ。
天井に穿たれた穴から差し込む光の中で、アサギは、上になっていた。
潤んだ瞳が、こちらを見た。
明らかに目が合ったのに、アサギは動きを止めることなく、優しく微笑んだ。
トクサはたまらず右手で自身をつかみ、見ていることしかできない自分を慰め始めた。
「……」
首筋が痛む。
柱にもたれたまま、あからさまな夢を見ていた。
夢で良かったと安堵する一方で、夢の中ではとにかく見ることはできたという安堵もあったから、何も知らないままだという絶望もあった。
今日、先生の顔を見ることができるだろうか。
その不安は、強い違和感にかき消された。
(……何だ……?)
左手が何かおかしい。
握ろうとしてみると、小指だけ握れない。
右手で左手の小指に触れて、背筋が凍った。石のように固くなっている。曲げようとしても曲がらない。幸い痛みこそないが、触覚さえなく、自分の体の一部とは思えない何かに変容している。
慌てて二の腕の包帯を解いてみると、患部を中心に血管が灰色になって浮き出ていた。
どういう毒なんだ、これは。
想像は容易につく。動かせない部分が少しずつ広がっていき、やがて全身固まって死ぬ。
俺は死ぬのか。
こんな症状、見たことも聞いたこともない。施薬院まで行けば薬はあるのか。いや、あっても払える金がない。まさかもう一度先生に体を……もはや一回も二回も同じか?
プツンと、頭の中で何かが切れる音がした。
(死なせてくれるなら、それでいい)
それからのことを、トクサはあまり鮮明には覚えていない。
特にアサギと顔を合わせた瞬間については、記憶することを脳が拒んだ。
昨晩、寝たのだ。
男と。
自ら望んで。
体中を触らせ、体中を触っただろう。
夢で聴いたような声をきっと本当に上げていたのだろう。
好いてもいない男と、唇を、腹を合わせたのだ。
左腕の状態に戦慄しながらも、アサギの身に起こったことを忘れたわけではなく、トクサはあえて意識するという手段に出た。心はなますに刻まれたが、抗う辛さからはある意味で解放された。
自然に任せ、この人は昨晩男に抱かれたのだと強く意識しながら、
「おはようございます」
と、おそらくトクサは言った。
そして、左腕の不調を巧妙に隠しながら、ジムングの橋を渡り、コクヨウの村に辿り着き、目的の薬を手に入れた。
帰路は拍子抜けするほど平坦であった。アサギは一夜で往復分の支払いを済ませている。
「無事、薬は買えたか?」
まるで自分の女であるかのように親しげに語りかける村長の表情も、トクサの記憶からは排除されている。
きちんと服を身に付けているのに、両者の間には一度肌を合わせたという事実がピンと糸を張っていた。
知っているからそう見えるのか、知らなくてもそう見えるのか、この時のトクサには判然としなかった。
俺にはノシメがいる。
そうとも、俺にはノシメがいる。
帰路の三日間でトクサは少しずつアサギへの淡い恋を捨て、許嫁への想いを強めていった。傍から見れば何とも都合のいい切り替えだが、それはアサギが望んだことでもあると同時に、トクサが正気を保つ唯一の方法だった。
待っていろ、ノシメ。この薬でお前を助けてやる。俺の左手はもう中指まで動かない。おそらく長くは生きられないだろうから、俺が死んだら誰かいい人を見つけてくれ。勝手なことを言っているが、俺は心からお前に幸せになってほしいんだ。
◆ ◆ ◆
ミビツシの村まであと少しというところで、苔むした倒木に少女が腰掛けていた。
「トクサ!」
と、手を振る許嫁の明るい声に、トクサは面食らった。
「どうしたんだ、ノシメ」
「おかえりなさい」
「寝てなきゃ駄目じゃないか」
「トクサ、あのね、もう良くなったの」
ノシメはその言葉を「病が治った」という意味で使った。しかしトクサには「不要になった」という意味で刻み込まれた。
アサギはノシメの顔色を見て、虚勢や一時的な小康状態ではないと感じた。
「自然に治ったのかい?」
「いえ、アサギ様。旅の薬師様がお薬を恵んでくださったのです」
陽射しのせいばかりではないだろう。村全体が明るい。その中心に、黒い外套を羽織った見知らぬ男がいた。
旅の薬師と聞いてトクサは壮年か老人を想像していたが、男の顔はどこか幼く、同い年か少し上ぐらいだろうと思われた。
「アサギ先生と、弟子のトクサさんですね。僕はヒロキといいます」
呆然としているトクサを気にかけつつ、アサギが頭を下げた。
「ヒロキ様。このたびは村を救っていただき、ありがとうございました」
「すみません。僕がもう少し早く立ち寄っていれば、お二人に苦労をかけずに済んだのですが……」
「とんでもないです」
「とにかくみんな助かって良かったです」
「よろしければ、どんな治療をなさったのか教えていただけませんか」
「ええ、喜んで」
コウセイブッシツという言葉が聞こえたが、トクサの耳にはそれ以上話は入ってこなかった。
無駄足だった。
俺たちと無関係に、村は救われた。
先生が体を売ったのも、俺が毒に冒されたのも、何の意味もなかった。
(俺は……)
薬師のくせに人が救われたことを素直に喜べないのか?
帰ってきたらみんな死んでいる可能性すらあった。
とにかくノシメが助かったんだからいいだろう。
(……無理だ。喜べない)
俺は、俺が、助けたかった。
あれだけの犠牲を払ったのだから。
報われて、感謝されたかった。
「ご苦労だったな、トクサ」
「ご無事で何よりです、アサギ様」
村人たちは口々に二人の旅を労ったが、未だ誰も感謝を述べていない。
事実として病人を救ったのはヒロキである。そして、村人たちには二人に無駄足を踏ませたという気後れがある。感謝の言葉が出づらいのも無理からぬかもしれない。
そんな時こそ、率先して感謝を口にするのがノシメであるはずだった。
「トクサ……トクサ!」
「! はい」
思考の雲に覆われて、トクサは数瞬の間アサギの声に気付かずにいた。
「どうした、疲れているのか? 施薬院で買ってきた薬をヒロキ様に見せてやってくれ」
「はい」
様をつけて呼んでいることに釈然としないものを感じながら、トクサは腰に結んだ皮袋をほどき、乳白色の薬瓶をヒロキに手渡した。
「ふむ、これは……」
ヒロキは薬瓶の蓋を開けると、中の白い粉を少量手に取って、匂いを嗅ぎ、舐めた。そして、
「お二人とも、とても残念ですが……」
一語一語、言い聞かせるように言った。
「これは、薬ではありません」
ヒロキの言葉は、トクサには無論のこと、アサギにもすぐには理解できなかった。
時が止まったかのようになっている二人に対して、ヒロキはゆっくりと語った。
「薬ではないという言い方は語弊がありました。薬には違いないのですが、有害かつ依存性のある危険な薬物です。病を治す力はありません」
「しかしそれを飲めば患者は」アサギが絞り出すように言う。「気分が良くなると」
「そう。気分が良くなるだけです。たまに病が治るのはただ自然に治っただけであって、これの効能ではないんです。僕の故郷ではアヘンと呼ばれています」
「毒だったっていうのか」トクサがつぶやくように言った。
「そうですね。毒とお考えください」
「嘘だ」
「信じられないのも無理はありません」
そこで言葉を切ったことは、ヒロキの思いやりと言えるだろう。
高価な薬と信じて買ってきたものがまさか毒だったなどと、初対面の人間に説明されて受け入れられるわけがない。
(嘘だ。嘘に決まっている。こいつは何か目的があって村を陥れようとしているんだ)
「ご教示、感謝します」
アサギの言葉に、トクサの思考は停止した。
「いいかい、トクサ。この方は私たちよりずっと進んだ知識を持ってる。人を救うには、昔のことにこだわってちゃいけない」
「ご立派なお考えです」
「ヒロキ様、私を弟子にしていただけませんか」
「あいにく使命がありますので長居はできません。一月で教えられる限りのことをお教えする、ということでいかがでしょうか」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
尊敬していた、そして、恋焦がれてもいた師匠が他人の弟子に成り下がるところを、トクサは無表情で眺めていた。
その日の晩。患者たちの快癒とアサギたちの帰還を祝って、宴が開かれた。
ヒロキに酌をするノシメを見て、不幸にもトクサは、察した。
(この二人)
帰路、ジムングの村で村長とアサギの様子を目にしていなければ、気付かなかったかもしれない。
その時と同じ、秘密めいた甘ったるい匂いがした。表情や距離感が赤の他人同士のものではなかった。
(寝たのか)
ノシメは聡い女である。初夜でトクサを悲しませぬよう、最後まではしていない。が、ヒロキから色々と手ほどきを受けたことは事実である。
トクサがアサギに惚れていることをノシメは知っていた。まずこれが前提としてある。
そこへヒロキが現れた。命の恩人であり、物腰が柔らかく、許されるものならこの人の妻になりたいと思った。そうとまで思ったなら、誘いを断る理由はない。
ノシメは聡いが、若い女である。言うなれば、浮かれていた。トクサが勘付くなどとは夢にも思わず、酌の仕方で、相手が特別な存在であることを躊躇なく表現していた。
「その左手」と、出し抜けにヒロキが言った。「生まれつきですか?」
「……」
上手く隠していたつもりだったが、見抜かれていたか。まぁ仕方あるまい。すでに薬指まで固まっている。もはや弓を持つのも難しいだろう。
「お気に障ったならごめんなさい。よろしければ診せていただけませんか。お力になれるかもしれません」
「結構です」低い声で、独り言のようにトクサは言った。「生まれつきです」
診せれば確かに治るかもしれない。
それでもトクサは、強い意志を持って、ヒロキの世話になることを拒んだ。
◆ ◆ ◆
翌朝、まだ村中が寝静まっている頃、トクサは一人で身支度を整え、村を出ようとしていた。
そこをアサギに見つかり、ごく簡潔に、「長い間お世話になりました」と言った。
「どうしても行くのかい」
「何もかも言われた通りにしなくていい。自分なりの薬師を目指せとおっしゃったでしょう」
「お前は気に入らないかもしれないけどね、トクサ、薬師の道を行くならヒロキに学ばないのは遠回りだよ」
「どんな理由があろうと、もうこの村にはいられません。先生、今までありがとうございました」
アサギの返事を待たずにトクサは歩き始めた。
足が動かなくなる前に、できるだけ眺めの良いところを探すつもりだった。
(了)
ディスカッション
コメント一覧
物語の面白さを無視してひたすら負のご都合主義に走ってる気がする
そりゃ世の中上手くいかないことは沢山あるけど、それをただ描写しただけじゃ物語にはならない
早速お読みいただきありがとうございます。
ぐうの音も出ません……
明けましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします
そして感想と分析です
厳しめと思うので、必要なものだけ参考にしてください
【感想と分析】
「重たい話でなかなか胸糞悪い話だなあ」と思いました
カタルシスに該当するであろう「胸糞悪い」という自分の感情ですが
これはおそらく管理人さんの狙った通りのものを読者に与えているのでは、と思いました
ただ、惜しいな、と思うのが「カタルシスに偏りを感じる」ことですね
前半で、ピンチを脱出、少年に温情を与える、などで「胸糞悪い」とは
別のカタルシスを与えようとしていますが、やはり前半は設定が語られていない分だけ
カタルシスが小さいですね
その分だけ「胸糞悪い」のカタルシスに負け、偏った印象を与えやすいと思います
つまり読者の感情が上下左右に激しく動く可能性は低い、と思われます
なお、序盤の誘引としては悪くないとは思うので、そちらはダメというわけではありません
主人公の最後のセリフである「結構です」のあたりが個人的にはもったいないです
こういう短いセリフは長編や2時間映画のように長い物語で
深くその人物を描かれてこそ、感動したり共感したりするものです
例としては「ターミネーター2」の「地獄に落ちな、ベイビー」などの単純なセリフが
感動やら勝利の美酒を視聴者に与えるのは、そのシーンまでに90分ほど使って人物を
描写しているため、一定の方向性を持って深く考えて楽しむことができるからだと思います
そのセリフだけで様々な、そして大きなカタルシスを生み出す、と言えばよいでしょうか
掌編のように短いお話では上記のようなことは到底できません
少なくともこの「結構です」で感動する場合
それは読者の知識によるものが大きく関係するでしょう
なので「もっと主人公らしさを前面に出したセリフでもよかったのでは?」と思いました
それで「胸糞悪い」というカタルシスに
主人公のセリフという香辛料を加えスパイシーにすることで
カタルシスの種類を増やす試みをしてもよかったと思いました
下手ですが、例えば――
「人妻と寝る医者に信など置けぬ。毒殺されて怨霊になどなりとうないわ」
――くらいの長いセリフでもいいから、主人公らしさを感じさせるべきだったかなと思います。
以上で感想と分析を終わります。
それではよいお年を。
ありがとうございます。
「胸糞悪い」は狙い通りですので、とりあえずそこは伝わったようで良かったです。
2020年1月1日 4:47 PMの方にご指摘いただいたように、野盗の必然性が薄く(実はこれ続編を書くことをこっそり考えて出したものなのですが)、前半と後半がいまいち繋がっていませんね。
あまり濃い言葉を使うのは好みではないのですが、掌編では伝わらないというのはごもっともです。
内容の方は、流石の考えられた小説だと思いました。
読みやすく、理解しやすかったです。
あまりにざっくりした指摘で申し訳ないですが、視点の書き方が安定していないように感じます。
一度、誰の視点として物語を見ているのかということに意識を置いて推敲をしてみると良いかもしれません。
ありがとうございます。
三人称神視点に不慣れで、一人称寄りの書き方になっていたところがあるかもしれないです。
明けましておめでとうございます。
最近はあまりコメントしていませんでしたが、新年になったということで久々に書きます。
【感想】
楽しく読めましたが、やはりこの時期は景気の良いお話を読みたいなーなんて思ったり思わなかったり。
神視点は初めてとのことですが、特に違和感はありませんでした。ただ、もう少し書き込みがほしいというか、全体的に淡泊だと感じました。短編ゆえなのか、初めてだからか、意図的にあっさりさせているのかわかりませんが、もう少し感情に関する部分に触れてみてもよかったように思います。正気を保つところとかは良かったです。
時代背景のせいかもしれませんが、読んでいて登場人物の年齢感覚がちょっと固まりきらなかったです。最初に想像した外見とのすり合わせがうまくいかなかった、という感じなので私に問題があるだけのような気もしますが……
やはり神視点だと叙述と相性が良いですね。叙述と模倣のバランスって難しいので、読んでいるだけで気づきがあるというか、勉強になりました。
【細かいこと】
>重箱の隅
タイプミスは別として、ペンギンさんならほじくってくれると思っていたのでちょっと意外でした(つつくでも今は大抵の辞書に載っていますが)。
>サライガラス
創作なので問題ないといえばないのですが、カラスで猛禽類というのはちょっと引っかかりました。
>ヒロキや村の病人
ヒロキがミビツシの村にやってきた時期がわからなかったのですが、コクヨウへ片道三日であるならば、トクサたちが出立した直後くらいでないと「大した病気じゃなさそう」という印象を受けました。もう宴会してもいいの?みたいな。
>最後のシーン
「翌朝、まだ村中が寝静まっている頃」とありますが、田舎の朝はそれなりに早いと思います。全員が酔い潰れているということもないでしょうから、「夜明け前」とか「空が白みはじめた頃」のほうが良さそうな気がします。
【上のコメントを読んで】
>2020年1月1日 12:27 AMの方
「カタルシス」の意味が私の知っているものとだいぶ違いそうな気がするのですが、どういう意味で用いているのか純粋に興味があります。
>2020年1月1日 2:24 AMの方
神視点と書いているのを読み落としているのでは
長々と失礼しました。
ありがとうございます。
淡泊なのはおそらく管理人のクセです。コントロールできているものではないので精進が必要です。
年齢感覚、最初に思ったのと合わない人は少なくないと思われます。「初登場時に一気に描写するばかりではワンパターンになる」と思って後出しにしてみたのですが、リスクもありますね。
細かな点もありがとうございますm(_ _)m
2:24 AMではないが三人称神視点とは三人称多元視点ではないのでしょうか?
厳密には違うとの意見もありますが、三人称であることに変わりはない
管理人もふくめ、もう一度三人称の意味を考えてほしい
管理人さん、明けましておめでとうございます。
いつも楽しく拝見させていただいております。
自らの横恋慕は棚に上げておいて二兎を得られず死に至る。いいですね、そういうもんですよね。ヒロキは和名っぽいので転生ではなく転移者なんでしょうか、万能な主人公勢の裏でトクサのように絶望するモブさんって、あちこちで居るんだろうかとか、そんなこと思いました。
こちらも晒し企画の一環と思いますので、自分も細かいことを幾つか。
カラスが持ち帰った獲物を育てているのがおぞましいって表現がちょっと引っかかりました。鳥が子猫や小ネズミを育てていたらむしろ微笑ましいのでは? とか。餌として飼育するって意味でしょうか。
あとノシメの酌のくだりは、なにか一つふたつ挙動が欲しかったかなあ、と。座り方とか手の添え方とか。あんな仕草は俺にはしなかったとか。蛇足でしょうか。で、「トクサがアサギに惚れていることをノシメは知っていた」で言い切っていいと思いますよ、神視点なので。ところどころ説明的になっちゃいますよね。自分もよくやってしまいます。
それでは、今年もよろしくお願いいたします。
ありがとうございます。
> 万能な主人公勢の裏でトクサのように絶望するモブさんって、あちこちで居るんだろうか
これが狙いの一つでしたので、ドンピシャで感じていただけて嬉しいです。
カラスに育てられるというのは「虫を食わされる」というおぞましさなのですが、ちょっと説明不足でしたね。確かに微笑ましく感じられてしまうかもです。
酌はご指摘の通り描写不足でした。
とりあえず、
執拗に何度も「遅い」→「襲い」。
誤字はこれだけかな?
内容に関しては、締めの部分が緩いかな、と。
特にヒロキがトクサの手の状態に気づいた辺りは、周囲との距離感が曖昧ですね。宴の場でなら尚更かと。
また、アサギとの別れのシーンにおいても、足が動かなくなる前にと覚悟するイクサの体の様子に気づけないのは、先の戦闘の描写からして難しいのでは。
全体を通してみて、なんとなく『羅生門』の薄暗さを感じました。私としては、救いがあるとか、大げさな感情の吐露があるような終わり方より、ほとんど無言で立ち去るトクサの人らしさが胸に響きました。
最後になりましたが、あけましておめでとうございます。今年もどうぞ、よろしくお願いします。
ありがとうございます。
誤字修正しました。
締めの部分が緩い、本当にその通りだと思いました。結末に向かって駆け足になり、雑になっていますね。
終わり方は伝わったようで良かったです。今年もよろしくお願いします。
管理人氏の作だから、という贔屓目を抜きにしても面白かったです。
この後味の悪さ、わたしは映画のミストを思い出しました。誰も悪くないし善意で事を始めたのに(悪役はいますが舞台装置でしかない)悪い方悪い方へ転がるという。
主人公の年齢も絶妙ですね。思春期なら仕方ないよ…と同情する気持ちも湧く一方で、嫁持ちの身の上で師匠に下半身膨らませてる小僧が一丁前に寝盗られ顔して世話ないわーという気持ちとのサンドイッチになります。
普段あまり湧かない感情が掻き立てられるという、自分が求めているとおりの読書体験ができました。ありがとうございます(年始からなんちゅうもんを読ませてくれたんや…という気持ちとのサンドイッチになりながら)
ありがとうございます。
ミストとはまた凄い作品を思い出していただけて光栄です。
> 普段あまり湧かない感情が掻き立てられる
そういう読書体験を管理人も求めています。とても嬉しいです。
明けましておめでとうございます。
冒頭はさすがですね。読んでいて違和感も特になかったです。
自分は重いとも胸くそ悪いとも思わなかったです。
個人的に冒頭を魅力的に書くことに苦労してるので、冒頭を書くときに気を付けていることがあれば、是非教えてください。
ありがとうございます。
今回は「すでに弓を引いているところに蜘蛛が落ちてくる」という閃きからスタートしたので、冒頭は迷いませんでした。
普段意識しているのは、「これから始める」ではなく「すでに始まっている」という心構えで書くことです。
冒頭、蜘蛛が落ちてくるという「動」からのホットスタート風ですが、
・弓を引き絞る男の描写(静・緊張)
・弓を放つと思わせ、実は蜘蛛が落ちてくる(動・転)
・払い除けられない理由の説明、アサギの描写
・毒を受け耐える
という順序の方が良いような。しかし長くなりそうな気もするので、考慮のうえならすみません。毒蜘蛛の描写は「毒々しい・握りこぶしほど」くらいまで圧縮出来るかもしれません。
「サライガラス」は一瞬、鳥類か硝子モンスターなのか迷うので、「カラス」でゴロの良い名の方がよいかと。
ありがとうございます。
今回は迷わずあの一文で始めており、特に吟味・検証しませんでした。今から射ようとしているのでなく待ちの体制なので、ご提案の形にはしにくいのですが、もっと良い形はあるかもしれません。
硝子、なるほどです。
う~ん…個人的に思ったのは情報を書きすぎなような。
例えば、アサギが衆目の中で売春を持ちかけるところで
本当に常識があるなら、あらかじめ人目のない場所で交渉しており、
寝静まった後に寝床を抜け出すアサギをトグサは見ていた。
という流れのほうが、自然というより普通なような。
なので村長と部屋中の男のくだりは蛇足な気がしました。
ありがとうございます。
一応あの場面は「軽蔑させる」という目的があってわざと衆目の中で言わせているのですが、蛇足と感じさせてしまったなら作品の落ち度です。
読了しました!読み終えた後に一言思ったのは胸糞悪ィなっ!ってことです!この前感想を挙げていた『世にも危険な医療の世界史』となろうのまとめが多いのでアンチなろうを描いた(というと言い過ぎなので、全てを解決するヒーローの影では不幸も起きてるよね)っていうのがコンセプトになっていると思います!トクサくんは大体12歳は超えているので15,16歳なのかな?それで許嫁と思いを寄せる人を失うってのはきっちぃなぁ。何も得ることができず生涯を終える人間がいる一方で、大衆から賞賛され続けるような人間もいる、そんな対比を感じましたね!
簡潔に話としておもしれぇか、おもしろくねぇか、で判断するとおもしろくねぇです!NTRが大好きなのでアサギの輪姦とノシメのヒロキ性指導が綿密に描かれていれば高評価でした!でもその一方で分かりやすいコンセプトとテーマ性だったので、そこはとても好きです!何度推敲したのか分かりませんが、書きたい何かが伝わるってのは才能だと思います。まぁ、私の想い違いの可能性もあるんですが!
でも、野盗の少年は果たしているんですかね?アサギの人間性を描く上では必要だったと思うんですが、正直いらない印象でした。というか、都に住んでおり三日間何も食べていないような人間がわざわざ田舎の街道に進んで襲おうと思いますかね?普通に都でスリしてた方が儲かると思います!
それと最後に、アサギの唇を花のような、と表現していましたが、花のような唇とはどのような唇でしょう。深紅の薔薇のように深い色を湛えた唇、とかなら分かりますが花のような唇ではイマイチ分かりません!
偉そうにグダグダ書いて申し訳ありません!でも、私は好きな作風と世界観です!どんどん書いちゃってどんどん投稿しちゃってください!新年あけましておめでとうございます。!今年もよろしくお願いします!
ありがとうございます!
コンセプトはおっしゃる通りです! 野盗や花についてもおっしゃる通りだと思います! 肝心のところをぼかしたのは広告主に怒られそうだから……というのもあるのですが、書く度胸がなかったというのが正直なところです!
> おもしろくねぇです!
結論ありがとうございます! そこ大事ですよね! 今年もよろしくお願いします!
あけましておめでとうございます。
まずは去年の私の軽はずみな発言のせいで慣れない形式になってしまったことを心から謝罪します。
さて、肝心の内容についてですが、時代背景を明言しないで想像させるところが上手いなと思いました。
序盤は忍たま乱太郎ぐらいの時代かなと思いましたが、作中で出てきた抗生物質のことを考えると明治時代あたりでしょうか?
恋愛面は新海誠監督の『秒速5センチメートル』という作品を思い出しました。立場上で優位性があるというだけで淡い希望を持ち続けた結果、現実がそれを容赦なく打ち砕くというところが似ています。こういう話、嫌いじゃないんですよ。むしろこういうのを見て興奮してしまうたちの悪い人間であります。
伏線も自由恋愛の件はうまく張られているなと思いました。ノシメまでもが裏切ってトクサと読者の淡い希望を木っ端微塵にするというラストにうまくつながっていました。
『ノシメという許嫁がいるけどそれはさておきアサギさんってセクシーだなあグヘヘ→アサギさん! 売春するとかビッ〇やん! でも俺にはノシメがいるから(震え声)→ノシメも〇ッチだったよ、もう無理死ぬわ』という流れは芸術と呼べるでしょう。
ただ、惜しいなと思った点が1つだけあります。それは、ノシメの存在そのものです。
単刀直入に言うなら私は読了後に『ふーん、ノシメさん裏切ったんだ』ぐらいにしか思わなかったです。ここで私にもっと悔しいなって思わせてほしかったのです。
その原因は何かを考えました。何の伏線もなく唐突に出てきたヒロキの存在かと最初は思いましたがそれは違いました。唐突に上位の存在を出して読者を絶望させるのはよくある手法ですからね。フリーザー様の戦闘力53万とかが顕著でしょう。
では何が問題だったか、それはきっと『トクサにはなにも落ち度がないこと』です。
作中では許嫁がいながらもアサギさんに目がくらんでいましたが、思春期の男児ならそれぐらいは当然であり、この程度では落ち度とは到底呼べないです。赤ん坊に癇癪を起こすなと言うようなものです。
例えば『ノシメと定期的に文通していたが返事の頻度が以前より目に見えて減り、その内容も短く簡素なものとなっていた、しかしトクサは「病状が悪化して手紙があまり書けなくなったのかな?」ぐらいにしか思わず、それ以上深くは考えなかった(しかし、実際は既にヒロキの手にかかっており、且つ形式的な許嫁以上の感情を向けてこないトクサに冷めつつあった)』だったら、アサギさんに移り気してノシメのことを疎かにしたのがいけなかったなとなり、そのことで読者は『もっとノシメのことをしっかり見ていればこんなことにはならなかったかもしれない』という気持ちになるのです。
先程の『秒速5センチメートル』も『主人公が初恋相手にメールを送ることに意味を見出せずにやめ、物理的に遠いからといって会いに行こうともしなかった』という主人公側の落ち度があることで悔しい気持ちにさせています。
しかし、本作は『主人公にとってただただ不幸な出来事が重なって、ただただ不幸になっていった』というものになっています。そのため読後感が『まあそりゃああなればそうなるよね』となっているのです。
多分、管理人さんはアサギさんをキーマンだと思って執筆していたのかもしれませんが、私はむしろノシメをキーマンにすべきだったのかなって思います。
『ノシメを疎かにしていたこと』という落ち度を匂わせる何かがあれば、最後に読者を悔しがらせることができるのだと思います。
とはいえ素人の意見なので参考程度にしてください。
ありがとうございます。いえいえ、おかげ様で今回は貴重な経験をさせていただきました。もともと一人称の不自由さが好きなのですが、他のキャラの内心も書けるのはやはり便利ですね。
> ノシメという許嫁~もう無理死ぬわ
お見事なまとめです。興奮していただけてよかったです。
時代は忍たま乱太郎より前ぐらいのつもりでした。ヒロキはオーバーテクノロジー的なものを持ち込んだ人(一言で言えば転生者)という設定でした。
> 主人公にとってただただ不幸な出来事が重なって、ただただ不幸になっていった
おっしゃる通りですね。2019年12月31日 11:52 PMの方には「負のご都合主義」と言われましたが、主人公に何も落ち度がないことがそれに拍車をかけています。現状の描写だとノシメただのセカンドだから喪失感が足りませんよね。
あけおめです
トクサの視点で考えれば胸糞なんですけど、アサギやノシメ側で考えるというほど胸糞でもないかも
主人公自身はヤれないでもどかしくなるばかりなエロ漫画と似た流れなんだけど抜けない
たぶんそれはきっとキャラ萌えするほどの肉付けが女キャラになく、淡々な流れでトクサの虚しさが前に出るだけからかな。R18というなら女の淫乱さをもっと協調した方がいいです。その方が最後の胸糞悪さも栄えます
ありがとうございます。
女の淫乱さ、目から鱗でした。そのあたりの表現をただの説明にしているせいで、アサギやノシメがただの舞台装置になっていますね。三人称というフォームをもっと活かすべきでした。
序盤の状況が全く理解できずに読み返しました
以下、私が初めて読んだときの心の動き
主人公が弓を構えて何かを待っているんだな。槍を構えた女薬師を相手にして隙を窺ってるわけか
カラスとも戦っているのか。猛禽類ってことは女薬師は鷹匠で1vs2か
カラスに腕を噛まれた! 毒もあるのか!
え、カラスは来ていない? ああ噛んだのは蜘蛛か
先生って誰だろ。後ろで動けなくなったりしてるのかな?
カラスが槍を使う!? えっ、薬師とカラスが仲間割れ!?
矢でカラスを倒した。次は
目覚め? 気を失ってた? なんで敵と馴れ合って?
???
結局は私の勘違いだったわけですが、冒頭に戻って確認しなければならなくなり、かなり読むモチベーションを削がれました
読者が慣れるまではむやみに主語を省略しない方がいいのではないでしょうか
詳細な実況ありがとうございます。大変よくわかりました。なるほど……
冒頭でそうなると読む気なくしますよね。
あけましておめでとうございます。
私はあまりバットエンド?(違ったらすみません)を読まないのですが、この作品は面白いと思いました。
確かに胸糞ですが、誰にもヘイトが向いてなくてすごいなぁと個人的に思いました(あくまで個人的にです)。また、主人公の気持ちの変化が分かりやすく書かれていて良かったです。
少し気になった所があるのですが、序盤の地の文で「先生のことは俺が守るんだ」とありますが、「俺」という一人称は使っても良いんですかね?もし、間違った指摘だったらすみません。
ありがとうございます。楽しんでいただけて良かったです。
ご指摘の点は自分でも「大丈夫なんだっけ……?」とちょっと思いながら書いていました。一応、「段落内で神視点と本人視点が混在しないようにする」というのは気を付けており、今のところの皆さんの反応を見る限りセーフなんじゃないかと思われます。
明けましておめでとうございます
読了したのですが、やはり他の方がおっしゃっているように結末ありきなご都合主義が目立っていますね
地の文も所々三人称なのか一人称なのか分かりにくい部分もあります
それと最後の病を治した人物はおそらく転生者あるいは転移者らしい描写でしたが、単純に医療が進んだ国の出身者か効能の高い薬草を所持した薬師でも良かったのではと思い、少し唐突な印象を受けてしまいました
ただ主人公の年相応の鬱屈とした感情、目の前の不条理に悩まされ見ることしか出来ないやるせなさなどは伝わりました
成功例の影でこういった存在もいる、そういう物語としてよくまとめられていると思いました
ありがとうございます。
今気づいたのですが、本文ではないところで「三人称です」と言い切ったせいで混乱せずに読めた人が少なかっただけかもしれません。前置き無しだったら違ったかもですね。
転生者の件はおっしゃる通りです。
冒頭
味気ないです。大きな蜘蛛が腕に落ちてきたならその感触も描写するほうが自然です。表現次第で良いインパクトになり、後の展開で不快感を表現するときにも指標として利用できます。それとカラスの説明もこんなにいらないでしょう。雰囲気の作り込みだとしても他の掘り下げとのバランスが悪いと思います。
アサギへの比喩
上手くないですが有効活用しましょう。このあとトクサの心情が変化するような展開があるわけだから、きれいなものから醜いものへ例えるようになる、などとしたほうがトクサが悲劇に見舞われる存在としてふさわしくなると思います。
視点
アサギの心情を事実として書くのはナンセンス。ノシメ関連もですが、不確かなことから嫉妬心が膨れ上がっていく方が人間らしくて僕の好みです。なれない視点に挑戦されたようですが、この内容ではうま味を感じられませんでした。
最後のシーン
トクサは死に場所を求めて一人で村を去りますが、これは力ないモブの行動として微妙だと思います。男が独りで死ぬだけではそこまで後味が悪くなるということもないですし。腕は治されて、自分の隣りにいる女の心は別の男に向いていて、けれど自分は村を出る決断すらできない。モブってこういうものじゃないですかね。
その他
野盗の場面とか情事関連は、書きたいなら細かく書けばいいと思います
薬を買いに行くだけなら薬師でなくてもいいのでは?
管理人さんはこの話を自分が望んで書きましたか?それとも望む層がいると思って書きましたか
諸々ありがとうございます。染み入りました。
最後のご質問について。どちらですとは言い難く、8:2ぐらいです。
あけましておめでとうございます。
「薬師の弟子」読ませていただきました。大変失礼な感想になりますがご容赦を頂けると助かります。
視点変更は気になりませんが、読者にとってフラストレーションがたまる作品でした。
理由は主人公トクサが終始受け身だからです。
ハッピーエンドであれバットエンドであれ、偶然によって発生したものは読者を怒らせます。
物語の結末が、トクサの行動の有無にかかわらないのは問題だと思います。
私としては、
①冒頭、トクサが不用意に動いたから蜘蛛に噛まれた。
②盗賊を見逃したのは、アサギではなくトクサにする。そのせいでアサギは売春をせざるおえない。
③けのんさんのご提案と同じく、ノシメを無下に扱う。
④ジムング村で暴力をふるいかけアサギに止められる。
⑤許嫁を奪われ激怒してヒロキを殴る。周りから非難される。
とします。
主人公が不幸になるのは、自業自得でなければいけないと私は考えます。
ド素人の意見で申し訳ございません。
今年もよろしくお願いします。
ありがとうございます。
やはり、「負のご都合主義」というところが良くないみたいですね。ご提案のようにすればとても主人公らしくなると思います。
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
あけましておめでとうございます。旧年中は楽しませて頂き、ありがとうございました。本年も、管理人さんの無理なき範囲で、よろしゅうにお願いいたします。
興味深く読了させて頂きました。惜しむらくは、肝心の冒頭で状況把握につまずいてしまいました。「弓を構えて茂みにひそんで」いて、「視界の先に女薬師のアサギ」がいたら、アサギを狙っているんだと思ってしまうのです。
「サライガラスに狙われていた」の文章に、人物紹介をかねた主語が付いていたら、素直に読み進められたと思います。または「女薬師のアサギ」ではなく、「師匠のアサギ」でも「囮役を買って出たアサギ」でも。
神視点だから「女薬師」にしたのかな? トクサの視界だから「彼視点のアサギ」でもいいと思いました。
状況把握につまずかなければ、クモから始まる緊迫感がもっと増したのに、ちょっと悔しかったです。
あとは引っ掛かる事もなく、物語に没頭できました。ヒロキは、「抗生物質」の単語で、「現代知識で無双している異世界人」と、スッと入ってきました。同時に、そういうお約束の裏側にいる人物の悲哀を描く物語だったのか、と、理解しました。そうだよね、すごいすごいと盛り上がってる裏で、努力台無しにされて傷ついてる人、ぜったい居るよね。
この物語は、ここでお終いなら哀しいやりきれないお話ですが、もしもこれが序章なら、この先トクサがどう転がっていくかが、とても面白そうです。
しかし、神視点って思ったより難易度高そうだ……。
ありがとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。
冒頭でつまづいた方、多そうですね。お二人からご指摘があったということは、少なくとも100人中20人ぐらいはつまづいているのだろうと予想します。神視点の冒頭は注意が必要ですね……
新年明けましておめでとうございます。
「薬師の弟子」、読了しました。
上のコメントであらかたの感想や指摘が出尽くしたように感じたので書かなくてもいいかな、と一度は思いはしたものの、どうにも心が落ち着かないので拙いながらも感想を綴らせていただきます。
まず冒頭の描写で真っ先に思い浮かんだのが「精霊の守り人」でした。これは単にアサギとトクサにバルサとチャグムの姿を、自分が勝手に重ねてあるだけかもしれませんが。
既に指摘されているように、冒頭はトクサの弓を引き絞る描写と内的な緊張、それから蜘蛛が落ちるという感じで続ける方が読者も自然に読み進められるのではないでしょうか。
また戦闘といった緊張する場面では、「サライガラス」といった読者にとって未知の存在や登場人物にまつわるアイテム等でもない限りは、物の描写を簡潔にするとすっきりして緊張感もより伝わると思います。こちらも指摘されている通り、蜘蛛のくだりは見るからに毒々しい事が分かれば充分ではないでしょうか。
後は特にありません。最後までトクサにすんなり感情移入した状態で読むことが出来ました。
少年らしいナイーブさ、努力の報われない虚しさが良く表された作品だと思います。
あけましておめでとうございます。お読みいただきありがとうございます。
他の方とかぶるご指摘もそれだけ深刻だったということがわかりますから大変ありがたいです。
バルサを思い出していただけたなら光栄です。書いているほうとしても、バルサと、マイナーですが「アンリミテッドサガ」のローラの中間あたりをイメージしていました。
序盤から先、評価していただけて嬉しいです。
あけましておめでとうございます。
NTRで脳が粉々に破壊された者としては非常に楽しく読ませていただきました。
個人的な好みとしては、ノシメとヒロキには肉体関係がなく、ノシメはヒロキに懸想しているがヒロキには全くその気がない、とした方がより屈服感が増して脳が粉々に破壊される気がします。
より胸糞悪くを追求するなら、トクサの行動次第でトクサ自身がノシメを救えていた、という可能性を示す展開も良いかと思います。
トクサの(道徳的に善とされる)行動により、金と時間を失い、そのせいでアサギが寝ることになって、その一晩の遅れのせいで決定的にノシメがヒロキに惚れてしまう(薬は効果があるが全員治っていて不要。かつ足が早い薬で次の機会には役に立たない)、トクサは善行を悔いて死んでいく、というのとか。
色々と妄想が刺激される面白い話でした。
あけましておめでとうございます。楽しんでいただけて嬉しいです。
> ノシメとヒロキには肉体関係がなく
なんとハイレベルな……
トクサの行動が結果に影響していない、というのは他の方からも指摘されており、この作品の急所の一つですね。大変参考になります。
読ませてもらいました。文頭の段落を落としてくれないと読みにくい・・・のは自分が、ネット小説に慣れていないからなのだろうか。
ファンタジー世界の貞操って、考え出すとドツボに嵌るんだよね。生産性や子供の養育を含む人口の再生産を考えると、一夫一婦制の厳格な維持を前提とした貞操観念って、十分に豊かになった現代だからこそのような気もする。かといってファンタジー世界独自の貞操観念なんてこと考えていくと、描写どころか設定で破綻しそうになる。
もちろん、妊娠出産が現代とは比べ物にならないほど危険であり、確実な避妊が存在しない以上、安易な性交を是とする価値観というのも存在しえないとは思うのだけど。
長い物語書くときは、そういう面倒な問題は迂回するルートがいくつも出来るけど、それを主眼にするとなるとオチありきに見えてしまう可能性もある。むしろ最後のどんでん返しとして、我々とは異なる貞操観念や結婚制度がありましたという展開に持って行った方が、ファンタジー世界という設定を生かせるのかもしれない。
そうなると今度は、そのトリックありきになってしまうのかもしれないけど。
ありがとうございます。原文は原稿用紙の型で書いているのですが、Wordpressで記事化した際に行頭スペースが反映されなかったのでm(_ _)m 普段紙で読んでいる方には読みにくいですよね……