「中世ヨーロッパ風」を捨てよ、ディテールを書こう

2020年7月4日


こんにちは、管理人です。
晒しへのコメントで「もっとディテールを」という趣旨のことを何度か書いてきました。
ドイツの建築家ミース・ファンデル・ローエも「神は細部に宿る」と言っています。

ハッシュタグ「皆様の作品を読んでいて思うこと」まとめ
で、

そのうち管理人も「晒しを読んできて思ったこと」を書こうかと思います。

と申し上げましたが、今回がそれです。

 

ディテールを書いてほしい

管理人はディテールが適度に描かれている作品が好きです。

例えば、異世界転移モノで、転移直後の場所について、

ゲームなんかでよくある中世ファンタジー風の街並みだった。

と書くより、

荷馬車がけたたましい音を立てて石畳の道を通り過ぎていく。

と書くほうが「豊か」ではないでしょうか。

※後者が「上手い」かどうかは置いといてくださいm(_ _)m

 

なぜ「概要」より「細部」を書いたほうが豊かかというと、読者には想像力があるからです。
荷馬車とか石畳というヒントがあれば、もうそれだけでそういうものが流通している文明レベルの世界らしいと想像できますよね。
ただ中世ファンタジー風とだけ書かれていても、一応の想像はできますが、具体物のヒントがないのでフワッとせざるを得ないのです。

念のため申し添えておきますと、これはナーロッパ叩きではありません。
概要を説明するより細部を書いたほうが小説は読みごたえのあるものになるという話です。

 

ディテールとは画像のようなもの

ディテールはネットニュースのアイキャッチ画像に似ています。
見出しに文字で「◯◯温泉街が閉鎖」とだけ書かれても、そこへ行ったことのない人はアバウトなイメージしかできません。
写真が一枚でもあれば、写っている部分については詳細にわかりますし、写っていない部分についても想像を広げられます。

 

画像の説得力は相当なものです。
ネットニュースや新聞でどれほどの面積を画像が占有しているか思い浮かべてみてください。
画像が使えない小説においては、ディテールを書くことがとても重要になるのです。

 

ところがどっこい

「小説」と「漫画の原作とか映像の脚本」は別物です。
漫画や映像の場合、ディテールを作るのは作画や監督の役割です。

 

管理人はいくつか映像用の脚本を読んだことがありますが、情景描写は基本的に「オフィス」とか「リビング」といった単語だけのシンプルなものでした。
せいぜい「散らかったオフィス」とか「西陽の差し込むリビング」という程度です。
小説なら煙草の銘柄で雰囲気を出すこともできますが、たとえば「年季の入った灰皿にラークの吸い殻が山盛りになっている」のような描写は、原作・脚本としては踏み込み過ぎということになるでしょう。

 

「小説家になろう」には、アニメ化が一つのゴールと見なされているところがあると思います。
読者もアニメが好きな人が多いでしょう。
従って、アニメの脚本の方針、すなわちディテール最小限路線のほうが好まれるかもしれません。

 

以前のつぶやきで「ボリューム」ということを書きましたが、それと同じです。
管理人は小説として読みごたえのあるものが好きなので、晒し作品にも「もっとディテールを」とコメントしますが、それが正解とは限りません。

少し古いですが、こんなツイートがバズっていました。

「中世ファンタジー風の街並み」で済ませてくれたほうがいいという人も少なくない――もとい、増えてきたのだろうと思います。

 

ちなみに、上のツイートにはこんな引用RTがついています。

 

追記(3/11 12:00)

皆様コメントありがとうございます。
一点、言葉足らずなところがありましたので追記します。

コメントを拝読していると「ディテールを書く」=「くどくどと書く」という風に捉えておられる方がいらっしゃるように見受けられます。
しかし、管理人が「ディテールを書こう」と言ったのは、たとえ同じ文字数でも「概要より細部を書いたほうが良くない?」ということです。

ディテールを「しっかり」描写しようとすれば必然的に長くなり、物語の流れが止まります。
故に、ディテールが精緻であるほど良いということを言いたかったわけではありません。

写真にたとえてみましょう。
「富士山に登る」というテーマの作品に添える写真、1枚しか使えないとして、「誰でも見たことある富士山全景の写真」と「登った人だけが見られる登山道の写真」、どちらが良いですか?
後者のほうが、その1枚から色々と想像が広がっていきませんか?
――という話でした。

もちろん、前者のほうがいいという人もいるでしょうし、「作品による」というご意見もごもっともです。

またそのうち、次は「描写の程度とタイミングについて」、私見を書こうと思います。

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