男「“武器や防具はちゃんと装備しなきゃ意味がないぞ!”って言うだけの人生だった」

1: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 18:15:07.209 ID:TziJ0Nzu0

冒険者「この剣ください!」

武器屋「1500Gね」

冒険者「これで」

武器屋「毎度ありー!」

冒険者「よーし、この剣でモンスターや悪党を倒しまくるぞ!」タタタッ

男「ちょーっと待った」

冒険者「え」

男「武器や防具はちゃんと装備しなきゃ意味がないぞ!」

冒険者「あ、はい……」



3: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 18:18:59.284 ID:TziJ0Nzu0

冒険者(なんだったんだ、あの人……)

町民「おっ、君も彼に話しかけられたのかい?」

冒険者「ええ、武器や防具はちゃんと装備しろって……」

町民「ハハハ、やっぱり。彼はあの一帯の清掃員でね、店で買い物した皆にそう言うんだ」

冒険者「そうなんですか」

冒険者(変わった人もいたもんだ……)

 

4: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 18:21:39.597 ID:TziJ0Nzu0

男(さて、今日も掃除するか)

男「……」サッサッ

男「……」ゴシゴシ

戦士「やったぜ! 新しい防具買っちまった!」

男「!」

男「武器や防具はちゃんと装備しなきゃ意味がないぞ!」

戦士「お、おう」

 

5: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 18:22:00.936
期待

 

6: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 18:25:02.837 ID:TziJ0Nzu0

男「そこの君!」

男「武器や防具はちゃんと装備しなきゃ意味がないぞ!」

剣士「はあ……」

男「もしもーし!」

男「武器や防具はちゃんと装備しなきゃ意味がないぞ!」

女僧侶「ご丁寧にありがとうございます」

男(さて、帰りは肉屋で豚肉でも買って帰るとしよう)

 

7: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 18:29:07.608 ID:TziJ0Nzu0

時には……

男「武器や防具はちゃんと装備しなきゃ意味がないぞ!」

荒くれ者「あぁ?」ギロッ

男「え……」

荒くれ者「なんなんだぁ、てめえ?」

荒くれ者「んな分かり切ったことをいちいちうっせんだよ!」ガシッ

男「ひっ!」

 

8: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 18:32:13.018 ID:TziJ0Nzu0

荒くれ者「俺をナメてんのか、あぁん!?」

男「いや、ナメてるわけじゃなくて、ナメないように、と……」

荒くれ者「ナメんじゃねえぞ、クソがァ!」

バキィッ!

男「ぐはっ……!」ドサッ

荒くれ者「ナメてっと、こうなるんだよォ! オラッ! オラッ! オラッ!」

ドカッ! バキッ! ガッ!

 

9: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 18:35:08.490 ID:TziJ0Nzu0

冒険者「なにやってんだ!」チャキッ

荒くれ者「ゲッ!」

荒くれ者「ちっ……!」タタタッ

冒険者「――大丈夫ですか!?」

男「あ、ああ……」

冒険者「立てますか?」

男「大丈夫……立てるよ……。すまないね……」

 

10: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 18:39:20.325 ID:TziJ0Nzu0

男「君は……見たことあるな。だいぶ逞しくなったようだね。嬉しいよ……」

冒険者「あなたこそ、相変わらず声かけを?」

男「日課だからね……。いや、日課というより習慣か……」

冒険者「……」

冒険者「前から聞きたかったんですが、どうしてこんなことを?」

男「……」

 

11: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 18:42:51.563 ID:TziJ0Nzu0

男「私があの一帯の清掃員だということは知ってるね?」

冒険者「ええ、知ってます」

男「まだ私が仕事を覚えたての頃、同じように新米の冒険者がいたんだが……」

男「ピカピカの武器と防具を買って、初めての冒険に出ようとしていたんだ」

男「その時、私はついこう話しかけてしまったんだ」

男「“装備するのが勿体なくなるくらい、綺麗な武器や防具だね”と」

冒険者「!」

男「彼は、“まったくだ”と笑って、武器や防具をそのまま大切そうに抱えていったよ」

 

12: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 18:45:46.046 ID:TziJ0Nzu0

男「その後、彼は装備をしないまま魔物がいる区域に向かってしまった」

男「もちろん、出現区域の近くで装備しようとしたんだろうが――」

男「その日は運悪く、魔物がいつもと違う場所にいた。つまり、出現区域の外に……」

男「そして、彼は襲われ……死んだ」

冒険者「……そんなことが」

冒険者「でも……それはあなたのせいでは……!」

男「かもしれない」

男「だけど、あの時“ちゃんと装備しろよ”と言っておけば……と今でも夢に見るんだ」

男「もしかしたら……彼が助かった未来もあったのかもしれない、と」

 

13: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 18:47:45.229
なるほど

 

14: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 18:48:20.821 ID:TziJ0Nzu0

冒険者「すいませんでした」

男「え」

冒険者「僕、今まであなたのこと、ただの変わった人だとばかり思ってました」

冒険者「だけど、ちゃんと理由があったなんて……」

男「いやぁ、変わり者には違いないよ。みんなに煙たがられてるだろうし」

冒険者「いえ……どうかこれからも、声をかけ続けて下さい」

男「ありがとう」

冒険者「ただし、さっきのような奴には気をつけて下さいよ」

男「分かってる。今度からすぐ逃げるようにするよ」

 

15: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 18:51:49.971 ID:TziJ0Nzu0

男「じゃ、そろそろ帰って晩ご飯にするか」

冒険者「今日は何を?」

男「ポークソテーにしようと思ってるよ。豚肉好きなもんでね」

冒険者「ハハッ、いいですねえ」

男「それじゃ、また」

冒険者「ええ、また」

 

16: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 18:56:03.702 ID:TziJ0Nzu0

――

ザシュッ!

竜「グワッ……!」

冒険者(よし……効いてる!)

竜「グルルルルル……」

冒険者「今まで何百人もの命を奪ってきた悪竜め……覚悟しろッ!」ダッ

竜「スゥゥゥゥ……」

冒険者(ブレスが来る!)

 

17: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 18:58:44.859 ID:TziJ0Nzu0

竜「カァッ!」

ゴォワァァァァァッ!

冒険者「こっちだ!」バッ

竜「!?」

冒険者(頭をッ!)

ザクゥッ!

竜「グオォォォォ……」ズゥン…

冒険者「ふぅ……」

 

18: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 19:02:32.564 ID:TziJ0Nzu0

男「聞いたよ、あの悪竜を倒したんだって?」

冒険者「ええ、何とか」

男「すごいじゃないか。君もすっかりベテランの風格を身につけたね」

冒険者「まだまだですよ」

男「ところで……」

男「武器や防具はちゃんと装備しなきゃ意味がないよ!」

冒険者「はいっ!」

 

19: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 19:06:52.297 ID:TziJ0Nzu0

――

――

男「……」

男(今日で定年を迎える……清掃員としての人生は終わりか)

男(残りの人生は貯金と、国から支給される金でなんとかなるだろう)

男(思えば、“武器や防具はちゃんと装備しなきゃ意味がないぞ!”って言うだけの人生だったけど)

男(これはこれで幸せだったのかもしれないな……)

男「さ、最後の出勤だ」

 

20: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 19:08:50.933 ID:TziJ0Nzu0

男「武器や防具はちゃんと装備しないと意味がないぞー!」

若者「はーい!」

男「……」サッサッ

男(もう……夕暮れか。雇い主に最後の挨拶をして、帰るか……)

「あの……」

男「ん?」

 

21: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 19:11:01.860
ん?

 

22: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 19:11:37.615 ID:TziJ0Nzu0

冒険者「お久しぶりです」

男「君は! いやー、今や世界中の冒険者の憧れの的じゃないか。見違えたよ」

冒険者「いえ、そんな」

冒険者「それより、今日仕事が終わったら、僕に付き合ってもらえませんか?」

男「? かまわないけど……」

男(彼みたいな超一流冒険者が、私みたいな年寄りになんの用だろう?)

 

23: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 19:14:29.427 ID:TziJ0Nzu0

男「終わったけど……」

冒険者「僕についてきて下さい」

男「?」

冒険者「こっちです」

男「ここは……酒場……」

パチパチパチパチパチパチ…

男「!」

 

24: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 19:17:07.832 ID:TziJ0Nzu0

男「え……え……!?」

パチパチパチパチパチ…

「今までお疲れ様でした! お世話になりました!」

「いつも装備を忘れなかったのは、あなたのおかげですよ!」

 

25: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 19:20:17.155
なかなかよき

 

26: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 19:20:29.675 ID:TziJ0Nzu0

男「これは一体……!?」

冒険者「あなたが今日で定年になると聞いて、さまざまな媒体で知らせたら……」

冒険者「こんなに大勢が集まってくれたんです」

男「……!」

ワイワイ… ガヤガヤ…

戦士「お久しぶりです!」

剣士「お互い年取りましたねえ」

女僧侶「お元気そうでなによりです」

荒くれ者「いつだったかは……本当にすみませんでした……」

ワイワイ… ガヤガヤ…

 

27: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 19:23:24.886 ID:TziJ0Nzu0

冒険者「料理とケーキを用意しました。豚肉がお好きだと聞いてるので、肉料理を多めに」

男「ありがとう……ありがとう……!」グスッ

男「本当に……嬉しいよ……」

冒険者「ふふっ……ああ、そうそう」

冒険者「ケーキやポークはちゃんと食べなきゃ意味がありませんよ」

おわり

 

28: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 19:23:59.598
面白かった!おつ!

 

29: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 19:24:14.517

 

31: 名無しの読者さん 2020/04/25(土) 19:27:22.973

面白かった

 

出典:https://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1587806107/

 


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Posted by yomisoku