「少年少女9人のサバイバルもの」←どんなチーム編成にする?
おはようございます。管理人です。
突然ですが、表題の通り、例題を出します。
ステータスを割り振ってみよう
あなたは今、少年少女9人のサバイバルものを書こうとしています。
「身体能力」「機転」「交流(コミュニケーション能力)」「知識」の4項目を、⭐️⭕️❌の3段階で割り振ってみてください。
身体能力:⭐️抜群、⭕️戦闘の補佐程度はできる、❌人並みor人並み以下
機転:観察眼や発想力を含む「知識」以外の頭脳
交流:⭐️超社交的、⭕️友好的、❌非友好的
知識:⭐️超役立つ専門知識、⭕️そこそこ役立つ知識、❌特になし
機械的に散らばすとこうなる
一言で「キャラ」を表すと、
① 筋肉バカ
② 鋭い一匹狼
③ ムードメーカー
④ オタク
⑤ 武官タイプ
⑥ (この中では多分)リーダー向き
⑦ 文官タイプ
⑧ 便利屋
⑨ お荷物
こんな感じでしょうか。
この編成でもまぁそれなりの物語は作れそうな気がします。
では、本題に入ります。
『彼方のアストラ』の場合
実は、この記事は漫画『彼方のアストラ』のレビューです。
アストラ号のメンバーの初期ステータスを上の表に当てはめてみましょう。
カナタ 身体能力・判断力・胆力に優れ、サバイバルの知識も備えている。
アリエス ムードメーカー兼「気付き」役。瞬間記憶能力を持っているが、特定分野の知識があるわけではない。
ザック 宇宙船の運転免許を持っている。体格は平均より良いが、身体能力で活躍はしない。
キトリー 医者の娘。序盤は輪を乱しているようにも見えるが、積極的な発言は結果的に交流を促している。
フニシア キトリーの妹。邪魔こそしないが和ませ役というわけでもない。
ルカ 器用さに特化。
ウルガー 射撃ができるが身体能力は普通。
ユンファ 何もできない。
シャルス 生物学の知識と応用力があり、和ませ役もできる。
この査定に異論もあるかもしれませんがいったん受け入れてください。
分析
さて、前述の「均等割り振り型」に比べると、大きな違いがあります。
ぱっと見、バランスが悪いです。
なんとお荷物が3人もいます。(フニをお荷物としました)
まず目を引くのはカナタのステータスの高さです。
全編を通してカナタもいくらか成長しますが、最初からリーダー適性は高く(キトリーにリーダーシップがないと言われていますが客観的に見ると及第点以上です)、フィジカルもメンタルもほぼ出来上がっている、いわゆる修行済み系主人公です。
次に、アリエスが気付き役とムードメーカーを兼ねているのが特徴的です。
仲間と助け合うことが話の柱ならつい分担させたくなるところですが、分担させるとおそらく典型的な「冴えてるキャラ」と「アホの子」になります。
兼ね備えることでステレオタイプに陥ることを避けられたと言えます。
そして、3人のお荷物です。
フニにはみんなをびっくりさせるような能力はなく、良い子なので交流❌評価ではありませんが、和ませ役とまでは言えません。
性格的に大人しく、揉め事の際は静かにしています。
ウルガーはいわゆる一匹狼で、1巻では特に出番がありません。
ユンファに至っては2巻の終わりまで出番がなく、貢献の仕方もちょっと特殊です。
ステータスだけでなく、冒険における最終的な貢献度も均等ではありません。
常に有能な子とたまに役立つ子がいます。
このバランスの悪さこそが
起伏とリアリティーを生み出しています。
バランスが良過ぎると、キャラそれぞれは魅力的でも「トラブル発生→誰かの特技で解決」の繰り返しになります。
主人公だけが目立ちまくるんじゃなくて、役割分担してほしい
というまとめ記事を先日出しました。
主人公があまりに何でもできてしまうと、
という感じになりますが、均等に割り振ってしまうと今度は話が単調になるわけです。
現実の世の中を見渡してみると、「もともと特別なオンリーワン」なんて歌詞はありますけれども、実際にはみんなが均等に活躍できるはずもなく、エグいほど「出番」に差があります。
バランスの悪さがリアリティーも生み出しているというのはそういう意味です。
他にも
細かな伏線とか巻末の4コマとか魅力は多々あるのですが、今回はメンバーのバランスの悪さに注目してみました。
5巻完結で読みやすいのでぜひお手に取ってみてください。
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ついでにお知らせ
5/15から変更して様子見していたコメント欄の仕様、このままで行きます。
コメント数は予想通り激減しましたが、アクセス数には影響ありませんでした。
引き続きよろしくお願いします(*´ω`*)
ディスカッション
コメント一覧
アストラのダイマだったってことだってばよ?
左様です。(毎度亀レスすみません)
エピソードを先に用意して、然る後に役割を誰に割り振るか決める方が好き。
年齢差が数歳の子供向け学生モノはともかく、50歳くらいの幅がある現実社会では、能力・役割・描写に濃淡があって当然。それは密室モノでも変わらないと思う。
アストラは読んだことない。15少年と11人を既読なら読まなくてもいい?
何事も極端は良くないってことね
これメンス
描きたいキャラを先に決めるのも悪くないけど、
テーマと展開を決めてそれに必要なキャラを割り振る方がキャラも立って人気が出るし、面白いシナリオになると思うわ
普通はそうですよね。メイン1~2人ならキャラが先に決まることもあるでしょうけど、9人もキャラ先攻ってことはほぼないだろうと思います。
自分の場合、能力の割り振りよりもまず性別のをどうしようか迷うな。
性別比によってもかなりストーリー展開変わってくるだろうし。
なるほど。それも重要ですね。(アストラは性別関係も面白い要素があるのでぜひ)
役割の割り振りよりも前に、レギュラーキャラ9名は多くて、書き分けも管理もできない……
これがサスペンスモノみたいに人数が減るとか、敵味方別れた群像劇とか、そのキャラのメイン回以外は空気でもいいなら、まだ違うけど。
漫画と小説の違いもあるでしょうけど、アストラはほぼ全員味方できちんと描き分けられていてすごいと思いました。
なんでも出来ちゃうと「これをどう解決するのか」って楽しみがないんだよね
平たく言えばドキドキワクワク感を感じないんだよねもう少し言うと冒険活劇になってない
こう言ってはなんだけどなろう系は間違ってるというかズレているんだよねー
思わず「そうじゃねーよ」って言いたくなるような感じでさ
予定調和的になっちゃうからね
だからワイはチェーンソーマンが好きになんだ
見たことないけど
アストラはその点、しっかり冒険活劇になっていたと思います。
バランス悪いっていうか、そもそも機械的な割り振りを基準にするほうがおかしいのでは…?完全なる無能キャラは普通いないし、完璧超人もほぼいない。特化キャラだらけって漫画のが少数だと思う。だいたいメインで活躍するグループに局所的に活躍する人が数人、が多いイメージ。
そうですね。分配が上手いなあと思って機械的な割り振りを最初に出してみましたが、下手くそな噛ませ犬になってしまったかもです。
「能力が高い、何かを達成できる」ことと「仲間だと信じられる、こいつがいて良かったと思える」事は違うんだよね、判断基準の一つにはなるけどそれが全てじゃない
劣るなりに堅実に努力する仲間と、その成果によって解決に手が届く主人公とのコンボってのも中々にアツい
物語を「人で解決する」ことは「人の能力で解決する」ことよりも難しくてロマンがある
好みにもよるだろうけど、個人的には人で解決する物語の方が好きかな
> 劣るなりに堅実に努力する仲間と、その成果によって解決に手が届く主人公とのコンボ
あぁ^~いいですねぇ^~
主人公のスペックは高いのにちゃんと他のキャラにも見せ場がある、っていうのは理想の形だな
ジャンプ漫画ってこのへん結構しっかりしてるイメージがある
そうですね。しかも、その見せ場が予定調和的でないのがアストラの良きところです。