なろう「これが噂の異世界転生か!」 女神「はい?」

なろう「そんなこと言われても困るよぉ!」ニカニカ
女神「あの・・・」
なろう「でも仕方ないですよね。もう元の世界には戻れないなら!」キリッ
女神「いや、そうじゃなくて」
なろう「やれやれ、それで?どんな世界に転生するんです?」
女神「いえ、あなたは転生しませんよ?」
なろう「は?」
女神「ですから、異世界って何のことか全くわかりませんし」
女神「転生って5つの約束を守って徳を積んだ人しかできませんし・・・」
なろう「・・・いやだなぁ」
なろう「あれでしょ?そういうコントでしょ?」
女神「いえ、事実ですけど?」
なろう「ほら、異世界に行って、転生特典で俺強ェするんでしょ?これから」
女神「言ってる意味が分かりかねます・・・」
なろう「だから!転生ですよ!転生!」
女神「えっと、あなたが次に生まれ変わる世界ってことなのはわかりますけど」
なろう「それそれ!どこですか!?」
女神「第1地獄等級ですね」
なろう「・・・地獄?」
女神「はい。あなたは生前、生き物を殺しましたよね?」
なろう「いや、殺してないです」
女神「殺してますよ?今までに5782回、殺生をしてます」
なろう「そんな大量殺人者に見えます?」
女神「でも、アリの巣を水攻めにしたり、蜘蛛を叩き潰したり」
女神「不快って理由でゴキブリを殺しましたよね?」
なろう「・・・」
女神「なので、第1地獄部門行きとなります」
なろう「異世界に転生は?」
女神「ですから、異世界というものがわかりません」
なろう「剣と魔法で戦う中世みたいな世界で!」
なろう「魔王とかモンスターが攻めてきてて!」
女神「ああ、シュラ世界のことですね。あのような場所に行きたいんですか?」
なろう「行きたいわけではないけど、異世界転生って言ったらそういうところでしょ」
女神「シュラ世界は6つの世界の中で人間世界の下位にありますが・・・」
女神「今のあなたのステータスでは、そこには行けませんね」
なろう「おお!ステータス!そういうの待ってた!」
なろう「そのステータスって見れるんですか!?」
女神「見たいんですか??」
なろう「そりゃ異世界転生の基本ですから」キラーン
女神「そうですか。どうぞ」
―――――――――
なろう 元人間
殺生 5782
盗み 3
不貞 0
虚偽 10802
―――――――――
なろう「なんですかこれ」
女神「あなたの罪の数です」
なろう「虚偽多くないですか?」
女神「・・・残念です」
なろう「そういう心に来るような反応やめてもらえます?」
なろう「あの、MPとか潜在魔法力とかは?」
女神「??」
なろう「もしくはスキルとか」
女神「何の話してます?」
落ちてた金を拾ったとかじゃね?
>>10
女子の体操服盗んだかな?
しかし虚偽多いのはあれかな、東大出身とかタワマン住みとかの類だろうか
なろう「ほら生前に得意だったことが、スキルになるとか」
女神「生前の得意なことって何かあったんですか?」
なろう「いや、思い当たらないけど・・・ほら例えば無口だったら」
なろう「無詠唱魔法LV.10とか」ボソ
女神「あなた、生前特に何もしてませんよね?」
なろう「・・・」
女神「えっと、資料によると人と上手く話せず」
女神「その鬱憤をインターネットに向けて」
女神「異性を蔑み、社会を恨み、虚構の世界に憧れを抱き」
なろう「もうやめてください。僕が悪かったです・・・」ジワッ
女神「普通に地獄一直線ですよ?」
なろう「うっう・・・そんなひどい事言わなくても・・・」
女神「ごめんなさい・・・あの、じゃあ等級あげたいですか?」
なろう「あげたいです」
女神「それでは、5番窓口に進んでください」
なろう「すごい役所感」ウゥウ
――天界 5番窓口 再申請はこちら
事務天使「なろうさーん、こちらへどうぞ」
なろう「よろしくお願いします」
事務天使「等級見直しの再申請ですね」
なろう「はい」
事務天使「では、この申請書のご記入をお願いします」
事務天使「それから、輪廻転生講習が必須となってますので」
事務天使「そちらも受講して下さい」
なろう「え?その講習って・・・どうやって受けるんですか?」
事務天使「ああ・・・では16番窓口に行ってください」
――天界 16番窓口 講習のお申し込みはこちら
事務天使「なろうさーん、こちらへどうぞ」
なろう「あの講習を受けたくて」
事務天使「はい。ではハローライフの利用カードのご提示をお願いいたします」
なろう「ハローライフ?」
事務天使「ああ・・・では別館の32番窓口に行ってください」
――天界 別館32番窓口 ハローライフ受付
事務天使「なろうさーん、こちらへどうぞ」
なろう「あの利用カードを」
事務天使「はい。では死亡理由申告書とソウルナンバーのご提示をお願いします」
なろう「え??」
事務天使「ああ・・・では本館の1番窓口に行ってください」
――天界 1番窓口 ようこそ天界へ
女神「・・・」
なろう「・・・」
女神「これが、ソウルナンバーカードです。あと死亡理由申告書の申請用紙です」
なろう「ちがう・・・」
女神「え?」
なろう「こんなの・・・求めていたものと違う」
女神「逆に何を求めていたんですか?」
なろう「神様の手違いで死んだ僕が、異世界に転生して・・・」
なろう「お詫びでもらった転生特典で無双して・・・」
なろう「原住民から、チャーハン?なんだそれはとか言われて・・・」
なろう「町の人気者になって、美少女からモテて・・・」
なろう「いつの間にか貴族になって、王族からも魔族からも一目置かれて・・・」
なろう「なんか最後は前世のトラウマを理解してくれるヒロイン達と・・・」
なろう「イチャコラするはずだったのに・・・」
女神「カウンセリングを受けてみては?」
――天界 別館66番窓口 ライフサポートカウンセリング
チビ「うぅ・・・」
デブ「・・・」
メガネ「キェェェェェェ!!!」チンチンポロン
なろう「なんだこの地獄は・・・」
事務天使「なろうさーん、こちらへどうぞ」
なろう「はい」
カウンセラー「はい、それじゃおさらい!5つの約束言ってみて」
なろう「1つ、私は、殺生を控え学び続けます」
なろう「2つ、私は、人の物を盗まず学び続けます」
なろう「3つ、私は、欲望や劣情を抑え学び続けます」
なろう「4つ、私は、偽りを語ることを抑え学び続けます」
なろう「5つ、私は、道徳に外れる行為を促す酒類を抑え学び続けます」
カウンセラー「よくできました」ニッコリ
なろう「でも、虫になるんですよね・・・」
カウンセラー「いや悪い事ばかりじゃないよ?」
カウンセラー「虫ならば、5つの約束を守って死ねる可能性あるし」ニコ
彼は5つの約束を守ることを固く決意した。
それでも地獄等級になりたくない彼は、等級見直しの再申請を行ったのだ
――後日 天界 5番窓口 再申請はこちら
なろう「・・・」
事務天使「なろうさーん、こちらへどうぞ」
なろう「はい」
事務天使「こちらが、審議結果です」
なろう「第1地獄等級・・・」
事務天使「残念ですが、生前の行いを無しにすることはできませんので」
なろう「くっ・・・」
事務天使「虫から、頑張ってください」
――天界 天の川 土手
ポチャン
なろう(異世界転生もできず・・・)
なろう(虫への生まれ変わりは決まり)
なろう(等級は地獄・・・あんまりだ)
女神「なろうさん」
なろう「女神さん・・・」
女神「ここ宜しいですか?」
なろう「はい、どうぞ」
女神「残念でしたね」
なろう「・・・」ジワッ
女神「でも、いい機会だったかもしれませんよ?」
なろう「どうして・・・」
女神「あなたの魂、擦り切れてたから」
なろう「・・・」
女神「覚えてないかもしれませんが、あなたは前々前世くらいは」
女神「徳の高い高名な僧侶さんだったんです」
女神「それが、いつしか地上の欲にまみれ、穢れを知り慣れてしまったのです」
なろう「・・・」
女神「それで、魂が擦り切れてしまったの」
女神「もう一度、スタートを切るべきなんです」
女神「虫から」ニッコリ
こうして、なろうは虫に転生した。
皮肉なもので、元人間であったなろうは虫の中では位が高く
時にはカマキリに、時にはカブトムシに、時にはてんとう虫になり輪廻転生を繰り返した
そして蜘蛛に生まれ変わった際、彼はどういうわけだか殺生をやめ自死したのだ
偶然か必然か、5つの約束を守ったなろう蜘蛛は人に転生する権利を与えられた
なろう蜘蛛「」
女神「あなたは覚えていないかもしれませんが」
女神「ここに来たことがあるのですよ」ニコ
なろう蜘蛛「」カサカサ
女神「人間に転生しても、5つの約束は忘れないでくださいね」ニッコリ
なろうは晴れて・・・転生を果たしたのだ。
カマキリの時に殺生したから人間じゃなくカブトムシに転生したんだろ
てんとう虫の時は何殺したんだ?
アブラムシだろ
どうしょもねぇ
輪廻転生ぞ?普通に生きてただけで生き物を殺生してしまうんだよ
なら全員地獄行きだな
女神も大変だ
そうなんだよ!全員地獄域なんだよ!
マジで容赦ないよ!
――それから数十年後
弟子「お師匠様・・・申し訳ありません!」ガバッ
高名な僧侶「どうしたのですか?」
弟子「戒律を破り・・・不浄な書物を手に取ってしまいました」
高名な僧侶「許しましょう」
弟子「お師匠様・・・」
高名な僧侶「罰を受けることを覚悟しながら、過ちを認めることは」
高名な僧侶「なかなかできるようなことではありません」
弟子「・・・」ジワッ
高名な僧侶「その書物を渡しなさい。私が清めましょう」
弟子「これです」サッ
高名な僧侶「これは・・・なんと汚らわしい」
弟子「申し訳ございません・・・」
高名な僧侶「良いのです。まずは顔を洗ってきなさい」
弟子「はい・・・」トボトボ
高名な僧侶「・・・」
高名な僧侶「・・・」チラチラ
高名な僧侶「どれどれ」
“俺は34歳住所不定無職。”
“人生を後悔している真っ最中の小太りブサメンのナイスガイだ。”
高名な僧侶「無職転生・・・おもしろそうこれ」ニコッ
胸が痛い・・・ごめんね楽しませられなくて
乙
俺は楽しんでるぞ
>>46
ありがとう(;_:)
自信失ってた!!
>>47
好きぃ(´;ω;`)
面白かった
次回作も期待してる!
おま、ありがとうぉぉぉぉぉ(´;ω;`)
ありがとうぅぅぅぅ
ありがとうぉぉぉ
考えるね!!!!
徳を積んだら極楽浄土行けるんじゃないのか
徳を積んで初めて輪廻転生とはな
そうだぞ・・・人間に生まれ変わるのは、詰めの上の砂粒くらいしかいないんだぞ
面白かったついでに有りえるなとは思った
おま、何者だ!
役所ええやん
ディスカッション
コメント一覧
割と好き
こういうのこそなろうアンチテーゼやと思う
罪を数えるだけのあの世ってのもなんかなあ
役所「あなたは生前に538の命を奪いましたので虫に転生です」
てんとう虫「……」
っていちいちやってんの?あほくさ
なんで返信になったんだろう…すみません
よくできてるじゃん!って思ったらベースに真言宗?があるのか
やっぱバックグラウンドがあると説得力違うなーと感じる
宗教嫌いな人多いんだねぇ、やっぱり
ただ、自分はなろうは安易に報われ過ぎてると思うよ
そのせいで周囲の現実をその人に都合よく改変して、そのせいで、どうしようもない現実を踏まえた上でその人がどうやって生きるか、どう在りたいかみたいな部分が書けてないし、自分自身の弱さやクソみたいな部分を掘り下げず向き合ったりせずに安易に聖人として讃えられる主人公を書いてたり
結局、物事のドラマ性っていうのは現実や自分自身を踏まえた上での葛藤ってところからきてるんだと思う
あと、天国がお役所だったのは、理想としてた天国や転生の現実みたいな部分が書きたかったんだと思うよ
なろうも自己崇拝サタニズムを模した現代宗教と言えなくはないで
宗教嫌いってより異教嫌いなんじゃねぇかな
都合が悪いからってやり直せばいいなんて間違っている
黙れ!ドン、やり直して最高の結果を得続けることの何が悪い!
根底としてはこの争い
まあ宗教もそこそこの数安易に報われるのあるし…(てかそういう大乗仏教みたいな方が流行った。なろうと同じやな)
そもそも創作で「報われる報われない」ってのがまずおかしくね?
創作は面白いかそうじゃないかやろ、なんで主人公≒自分みたいな構図なんや?これがアカンわ
ワイは承太郎みたいな超人タイプの方が物語面白いと思うで
ラノベなろうみたいな主人公≒読者みたいな共感性に重きを置いた主人公はちょっと…
気に食わん作風だねぇ
それはそれとして役所パートは何の為にあったんだろう?
おもしろかったよ
すき
死後の世界って概念自体が創作なんだよね。
異世界も地獄も天国も本質的には変わらない。
念仏唱えれば極楽浄土に行けるとか、神を信仰しないと復活できないとか、なろうよりよほど気持ち悪い意図が透けて見えるのが宗教。
全部が全部そうじゃないけどね。
十善戒の最初の四つが不殺生不偸盗不邪淫
現代日本人に生まれて大人になってる時点で上位数%の上級地球民なんだから
神様目線で「かわいそう」「お詫び」なんてなるわけもないんよな
どんだけ甘えてるんだっていう
そういやイスラム国ISILの教義がだいたいなろうだったりする
違いはトラックにはねられることじゃなく聖戦で戦死することくらい
相変わらず地獄が昔のままなので、近代化したお話が読みたくなった。
設備が技術革新するような話ではなく、思想や文化も含め近代化させて欲しい。
ある意味、利欲を肯定しどこまでも悦を貪る現代資本主義の在り方そのものが星にとっては地獄とも言えなくはないない
卑しき人々が起こす地獄絵図のような様という解釈なら案外として既に世にいくらでもある
こう言う茶番は嫌いやないで
修羅界のことですか?と言うのは、
分離と格付けでしか自分の立ち位置を理解できない奴はどこ行っても修羅だよね感強い
で、なろううぜえなって言われる理由は大体無自覚なこれ
ゲームで負けたら発狂する奴が勝ち続けれるから発狂してないだけなのに、
発狂してる奴見下して優越感感じてるだけでゲームのルールの精査もしないのが無理キモいって言うね