最近の読者には意味不明になりつつある小説
ふと。
筒井康隆『農協 月へ行く』は、「農協には、田舎者の常識のまま金持ちになってしまった輩が多く、よくパックツアーで海外旅行に行っては、非常識な行動で顰蹙を買っていた」ということがわかってないと、意味がわからん(そしてそういう知識は失われつつある)のではないか。— 芳賀 有一郎 (@Yuichiro_Junior) October 6, 2021
みんなの反応
お伊勢参り感覚で月まで行ける皮肉も、包含していましたね。
— うが犬ん(´w`▽ (@ugar0) October 7, 2021
インバウンド観光客のマナーが問題になったとき「バブル頃までの日本人もそりゃ酷かったですよ」という指摘にびっくりしている人たちとか「日本人は礼儀正しいんだ!」みたいな反応、ありましたね。
— mistral6996 (@mistral6996) October 7, 2021
バブルの頃の日本人海外旅行客や、インバウンド絶頂期の訪日中国人など、20-30年おきに見かける気がします。
ハワイのホテルの和朝食とかはノーキョーさんで定着したと耳にしたことがあるので、良いこともあったのかもしれません。— mytunes78to93 (@mytunes78to93) October 7, 2021
田舎への怨み方凄いですよね🤭(エッセイ片っ端から読んだ)
田舎からは作家あまり出てこないんだから、田舎は田舎で言い分あるだろと思って話し半分で読んでましたがww
戦後の東京のパンパンの殆どは
恐慌で食い詰めた東北などの農村出身ですしね— Yuni Ageha (@AgehaYuni) October 7, 2021
「48億の妄想」も李承晩ラインについて知らないと、なぜ日韓が漁船で戦争するのか分からないでしょうね。
— Baatarism/ちゃんぷるー (@baatarism) October 7, 2021
角川文庫から出てます。
表題作含め7篇収録。
図書館とかにも、大概あると思います。
映画化もされた『日本以外全部沈没』も、これに収録。 pic.twitter.com/zJdKa0IWOl— 芳賀 有一郎 (@Yuichiro_Junior) October 8, 2021
筒井さんの小説も、当時の社会を探る史料にされてしまう時代に
入りましたね。与謝野晶子や宮沢賢治…いや、三島由紀夫くらいには
同じテーブルで語られるようになりますか。— 藤間隆 (@canglei) October 7, 2021
後年の研究者にとっては垂涎ものですね。
ディスカッション
コメント一覧
前提知識が必要な作品ってやめて欲しいよな
昔海外のわけわからん作品を見た時は「下地に宗教観があるのではないかと思われる」と言われててそりゃ日本人にはピンと来ないわと思ったわ
でもよく考えたらなろう小説もけっこう前提知識求められてる気もするな・・・
娯楽として手早く消費する上では好ましくないものだけど、むしろそれが文学の価値で醍醐味
管理人も軽く触れてるが、100年後200年後の学者にとってはその時代の人間がその時代の常識とライブ感で描いたありのままであるほど資料価値が高いし、考察や発見の面白さがある
例えば中高年が自分達の時代を若者や後世に伝えるために書いたものだったりすると、都合のいい説明が混ざりやすくて信憑性が低くなる
それに理系と違って文系は絶対的な正解を見極めようがない解釈の世界だから、記者や学者が客観的に書いた記事や論文より普通の若者が平均的な感覚と経験で当事者として書いた方が正確なことも多い
文学が社会に貢献するとしたら、そういう文学でしか残されないような資料の提供
非ロマン主義な私小説=純文学って扱いなのもそういう前提がある。芸術性って説明されるからアート的だったり表現技術だったりなイメージがあるが、最近はそれより「直感的でありのままの言葉や世界の捉え方を大事にする」みたいな傾向も強い
芥川賞で今の若者を切り取ってるみたいな小説が選ばれがちなのもそういうことで、芽生えたての文化や価値観について外野から再解釈される前のとれたて新鮮な言葉が残されているから文学的に価値が高いという評価になる
当時の人にとって当たり前のことはわざわざ説明など無い
これが頭から抜けていると珍妙な復元が出来上がる
「田舎に田舎者は一人もいない。都会にやってきて都会のルールを学ぼうとしない者が田舎者と言われるのだ」
確か白洲次郎の言葉
今風にアップデートするなら「都会に行く前にルールを事前に調べない者が~」かな
> 当時の社会を探る資料にされてしまう
底辺の生の声が直接記録されるようになった2000年あたりより後ろは、
こーいう「一度纏められた作品」の重要度も下がるのだろうね。
ニュース映画なんてのも消え去った文化だし、
百科事典も怪しい。次は何が消えるのかなぁ。
ルールやマナーを守る奴は田舎にも都会にもいる
ルールやマナーを守らない奴は田舎にも都会にもいる
そういうことだ
それはもう時代の変化だから仕方ないと思うけどなぁ……
生きてる人間の話ですら怪しいのに小説からとか…。
いいんじゃないの? 物事は移り変わって行くものだし、むしろ農協がずっと変わらずアノ感じで継続していたら、それはそれで怖い。
「恥ずかしい」だの「みっともない」だのを感じる心その物が失われて来た、という話だとしたら、確かにそれは嫌だなぁ。