図書館の数が増えて利用者は減っているらしい

図書館数は着実に増加しているのに、利用者数が急激に減少している――。文部科学省が2022年7月27日に発表した「令和3年度社会教育調査の中間報告」で明らかになった。

(中略)

この背景には、図書館離れがある。PCや携帯の普及と、これらの媒体で小説や漫画が読めるようなサイトが増加したことで、特に若者層が図書館を利用しなくなっている。

いまや、図書館は高齢者を中心とした利用に偏っている。毎日、開館と同時に新聞や週刊誌を読みに来る高齢者。日がない一日、図書館の椅子に座って、時間を潰す高齢者は予想以上に多い。

(中略)

2020年度の貸出冊数の減少には、前述の通りに新型コロナの感染拡大の影響があるのは事実だ。だが、問題はそれだけではない。

筆者の妻は長年勤めた図書館を新型コロナで休館になったのを機に退職した。当時、妻がよく口にしたのが、「新刊を購入する予算が限られており、新刊が少ししか入って来ない」ということだった。

筆者も4年ほど前に、話題になった経済書を借りるため予約しようとすると、その本は1冊しかなく、75人待ちだったことを覚えている。

1人が図書館から1冊の本を借りられる期間は2週間だから、75人待ちということは、順番が回ってくるのに最大で150週かかるということだ。1年は52週だから、3年近く待たなければならない。8000円を超える本だったが自腹で購入し、読み終わった後に妻の勤める図書館に寄贈した。

いくら図書館を増やしても、読みたい本、新刊本などがなければ、図書館に期待しなくなり、利用をやめることになる。それでは、利用者は増えないだろう。

この予算問題は「指定管理者の増加」という別の弊害も生んでいる。指定管理者制度とは、2003年9月に地方自治法が改正されて認められるようになった制度だ。

公の施設の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体を指定して、その施設の管理を代行して行わせることができるというもの。

法人その他の団体とは、株式会社などの民間営利事業者やNPO法人、その他の団体などのことで、指定を受ける者に制限はない。

この指定管理者を導入する図書館の割合が急速に増加している。2020年度には公立の図書館3378のうち、20.8%に当たる704が指定管理者を導入している。

(中略)

こうした図書館では、館長や数人の図書館司書は正規の職員だが、残りの職員はすべて非正規の職員だ。

指定管理者は入札によって決められるため、低予算を提示したところが落札する。一般企業で指定管理者になるのは、人材派遣会社が多い。

低予算で仕事を獲得した分、非正規職員は派遣の形式を採るが、その賃金は非常に低い。ある調査では、最も低賃金の業種として「図書館職員」が1位になったほどだ。

「あれでは、本が好きで、図書館の仕事に熱意を持った若い人が生計を立てられる給与ではない。結局、いい人材は集まらないし、図書館の魅力が高まることはない」と妻は常々嘆いていた。

図書館という施設は、数を増やし、低予算で管理運営ができればよい、というものではない。たとえば、本屋の店員がその興味と熱意で、自らが読んで面白かった本を紹介し、それが「本屋大賞」として選ばれ、良書が注目を浴びている。

図書館にも、こうした本や知識を伝えるという重要な役割があるはずだ。今後、図書館が魅力的な施設となることに期待したい。

https://article.yahoo.co.jp/detail/9180fe541883dbee4ddd3faee8fcf7f3322e4628


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もう新しく作るのやめたほうが……

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やはり本職の図書館職員は凄い

図書館「本を無料で貸すでw 作者には1冊の本代以外一切払わんでw」