文学, 管理人の感想

魔術
カバーデザイン=工藤強勝/発行所=偕成社

偕成社の『杜子春・くもの糸』には12の短編が収められており、この中で僕は『魔術』が最高傑作だと思っています。大変よくできた一枚の風刺画のようです。※以下、ネタバレを含みます。

ノンフィクション・エッセイ, 管理人の感想

朽ちていった命
カバー写真=©David Sacks/Getty Images 発行所=新潮社

1999年9月、茨城県東海村で臨界事故が起きた当時、僕は15歳でした。もう世の中のことに関心を持ってもいい年齢ですが、大人になってこの本と出会った時、東海村臨界事故のことは一切記憶になかったので、当時の僕がいかに無関心だったかということがよくわかります。

そんな僕でもさすがに阪神淡路大震災(1995年)や地下鉄サリン事件(同年)のことはずっと覚えていました。東海村臨界事故も極めて重大な事故だったはずですが、僕が忘れてしまったのは、ニュースとしての扱いが小さかったからでしょうか。あるいは、繰り返し報じられなかったからでしょうか。いずれにせよ僕の中では完全に「風化」していたのです。

文学, 管理人の感想

残像に口紅を
カバー・扉=舟越桂(協力=西村画廊)/本文イラスト=山内ジョージ/発行所=中央公論社

漫画『スラムダンク』の高頭監督が言っていたように、「奇策」というものは現実にはなかなか成功しないものです。風変わりな作戦が華麗に決まるのはフィクションの中の出来事で、実際には正攻法が一番強いものです。強いから正攻法だとも言えます。

それはスポーツや戦争に限らず、創作の世界でも同じことです。奇策を弄するものではありません。「今までにない斬新な手法で作りました!」と言われても、ほとんどの人は真に受けないか、期待しないでしょう。手法になんかこだわっていないで内容で勝負しろ――と思うでしょう。

「使える五十音を少しずつ減らしていくという奇策を用いて書かれた小説」と聞いて、百人中何人が期待を抱くでしょう? ピュアに「面白そう!」と思う人は稀で、「試みは面白いと思うけど内容は期待できない」とか、「最後までやり切った努力は認めるけど内容は期待できない」と思う人が大半なのではないでしょうか。

文学, 管理人の感想

劇場
装画=大竹伸朗「路上1」1990年/装幀=新潮社装幀室/発行所=新潮社

『火花』で芥川賞を受賞した又吉直樹さんの二作目の小説です。劇団の脚本・演出としてくすぶり続けている主人公が、神様のように優しい女の子と出会って、くすぶりを延長してしまう話です。

ノンフィクション・エッセイ, 管理人の感想

剣術修行の旅日記
装幀=芦澤泰偉/発行所=朝日新聞出版

佐賀藩の牟田文之助という武士が嘉永6年(1853年)から2年間にわたって武者修行をした日記『諸国廻歴日録』に基づき、その足取りを追いながら、当時の「武者修行」の実態に迫る研究書です。

文学, 管理人の感想

コンビニ人間
装丁=関口聖司/発行所=文藝春秋

2016年に芥川賞を受賞した作品です。れっきとした文学作品なのに、ほとんどマンガみたいなスピードで読むことができます。一ページあたりの文字数が比較的少ないせいでもあるでしょうが、「視点が主人公に統一されていること」、「思考の明快さ」、「コンビニという誰もが知っている場所が舞台になっていること」、そして何より「面白さ」のためでしょう。

文学, 管理人の感想

ハツカネズミと人間
カバー装幀=沢田としき/訳=大浦暁生/発行所=新潮社

1937年発表、カリフォルニアの農場を転々とする労働者たちの物語です。ほとんどの男たちが一人で生きているのに対し、主人公のジョージとレニーはコンビで渡り歩いています。

文学, 管理人の感想

モモ
作・画=ミヒャエル・エンデ/訳=大島かおり/発行所=岩波書店

この作品は学校の「課題図書」によく選ばれているみたいです。もちろん、若い想像力をかき立てるという意味では、素晴らしい作品です。しかし、作品に込められたメッセージについて、子供たちがどのように受け止めてほしいと、大人たちは考えているのでしょうか?

文学, 管理人の感想

武装島田倉庫
カバー装幀=平野甲賀/発行所=新潮社

椎名誠さんというと、一般に「『岳物語』を書いたエッセイスト」もしくは「ビールとラーメンをこよなく愛するエッセイスト」あるいは「あやしい探検隊の隊長」というイメージなのではないでしょうか。けれども僕は「SF作家」としての椎名さんが大好きで、数あるSF作品の中で最もオススメしたいのがこの『武装島田倉庫』なのです。

ノンフィクション・エッセイ, 管理人の感想

資本論
装画・挿画=平田利之/装丁=坂川栄治+田中久子(坂川事務所)/発売元=集英社

いきなり別の本の話ですが、椎名誠さんが中国やロシアへ行った時の旅行記をいくつか読んでみると、「社会主義ってつくづく無理があるよなあ」と思わされます。加えて、高田かやさんの『カルト村で生まれました。』というエッセイを読むと、「こんな小規模でこの有り様(村の人たちの多くはそう思っていないでしょうが)じゃやっぱり絶対無理だなあ」となります。テレビで垣間見える北朝鮮の現状もひどいものですよね。戦時中みたいに「アカ」呼ばわりする気はありませんし、資本主義が完全な正義だと思っているわけでもありませんが、僕にとって社会主義・共産主義の共同体は「目指してほしくないもの」というのが本音です。

大雑把に言って、大多数の日本人がそんな感じなのではないでしょうか。でなければ共産党はもうちょっと議席を取れるはずです。

そして、「マルクス主義」or「マルキシズム」=「資本主義を打倒して社会主義の国家を樹立せよという考え方」だと認識して毛嫌いしている日本人も結構多いんじゃないでしょうか。僕は表題の『高校生からわかる「資本論」』を読むまでずっと誤解していました。下手をすれば死ぬまで誤解しっぱなしだったかもしれません。